ウサミ

グッドフェローズのウサミのレビュー・感想・評価

グッドフェローズ(1990年製作の映画)
3.8
「ゴッドファーザー」におけるコルレオーネファミリーがマフィアの表の世界だとしたら、こっちはよりアングラな世界を描いている。

前者はどちらかというと高貴な世界だったけど、こっちはもっと生々しく、より暴力的だった。

かなり歪な形をしながらも、いわゆる典型的なアメリカン・ドリームを抱えた青年ヘンリーが、血と暴力、金と麻薬にまみれた世界を圧倒的なスピードで駆け上がって行く。
ともに流れる音楽のセンスが素晴らしく、1ミリたりとも足を踏み入れたいと思わない世界をカッコよく彩っていて、観てて退屈しなかった。

何より、メイン登場人物のインパクトが凄い。
決してクライムアクションの様な派手なことはせず、暴力と恐喝により犯罪を淡々と犯す。
映画として地味ではあるが、ロバートデニーロ、ジョーペシ、レイリオッタの三者の存在感は凄まじく、裏のまた裏の世界を生きるということの狂気が、嫌という程伝わってきた。

終盤からは一転し、"グッドフェローズ"という、法に縛られない彼らをつなぐある種の「モラル」の崩壊を描く。

アングラな世界を、アメリカンドリームと共に駆け抜けたのヘンリーの青春は、彼の手によって否定され、崩壊する。
唐突に訪れるエンディングでは、ある種の切なさすら感じた。
ウサミ

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