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十三人の刺客のバナバナのレビュー・感想・評価

十三人の刺客(2010年製作の映画)
3.8
久々の大人数によるチャンバラで面白そう!と観てきました。

稲垣吾郎がやっていた殿様は、オットセイ将軍といわれた11代将軍・徳川家斉の二十六男・斉宣をモデルにしているようですが、
きっと斉宣も「いったい俺が何をしてん!」と、
草葉の陰で号泣しそうな程の極悪非人間に描かれています(爆)。

最初配役を聞いた時、この狂った殿様役は吾郎ちゃんより伊勢谷友介の方が似合うのではないか、と思っていたのですが、
『スマステ』でワイングラスを傾けながら映画批評している時のような無表情での極悪非道ぶり、
また部下が「そちらは罠でござる!」と言ってるのに、ニタっと笑ってスタスタスタと危ない方へ走って行ってしまうお茶目ぶりなど、なかなか楽しませてくれました。
但し、無茶苦茶エグいので、スプラッタが苦手な人は、この作品見たらビックリするかも!
小学生の子供と親子で見るのは無理だと思いますが。

私はてっきり、この狂った殿様を押し付けられた明石藩の内部で、堪忍袋の緒が切れてクーデターが起こる話なのかと思っていたら、刺客は中央から派遣されて、明石藩の人達は、ひたすらこの殿を守る話なのです。

この殿様は、自分の領地でも無茶苦茶な事やってるみたいだし、こんな狂った殿様を押し付けられたら、それこそ毒を盛って病死に見せかけて暗殺するか、この映画の様に外から刺客が来て始末してくれようもんなら、さぞ万々歳だろうと思うのですが、明石藩は300人という貴重な人材をかけて、この殿様を守るのです。

それというのも、明石藩の家老・鬼頭半兵衛は、代々その藩に仕えた人間ではなく、吾郎ちゃんが明石藩に養子縁組してきた時に一緒に江戸から付いてきた人、という設定なのです。
そしてこの鬼頭は、刺客の大将である島田新左衛門に対してモーレツな劣等感を抱いているという…。

13対300で対決するクライマックスのシーンはかなり長く、血しぶき飛びまくりで激しいのですが、この根幹の部分がねじれているので、私は明石藩の侍たちが可哀想で可哀想で、どっちを応援してるのか分からなくなってしまいました。

コンプレックスの塊の男が陣頭指揮を執ると悲劇が起こる…というテーマに見えました。
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