茶一郎

オール・ザット・ジャズの茶一郎のレビュー・感想・評価

オール・ザット・ジャズ(1979年製作の映画)
4.7
『人生は綱渡りだ。下では待つだけ』

 皆さん、ご紹介します。偉大な。博愛なる。36年間の名作。監督・振付師ボブ・フォッシー自身による自伝的ミュージカル・コメディ。平凡を恐れ自分の人生をショーとして演じなければならないと思い込んでしまった男の話。

 自伝も自伝。自分の下半身に正直すぎる監督の投影、主人公。愛人役のアン・ラインキングは実際に監督の愛人。その他、役はほぼ実在の人物という驚き。ボブ・フォッシーといえば最近ではアカデミー作品賞の「シカゴ」の舞台版の振付師と言うと分かりやすい。その氏によるそのまますぎる自伝。
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 『It's show time ,folks.』
 自問自答も全ても日常がミュージカルに。作り手の苦悩と葛藤はミュージカル版「8 1/2」と言って適切。

『何か』に取り憑かれてしまった男の話。ラスト、♪バイバイ人生。彼の人生にとっての『脇役』が彼に拍手を浴びせ、彼の『ショー』として演じきってしまった人生はエンディング曲♪ショウほど素敵な商売はない、によって肯定されていく。

作り手による作り手自身の肯定にしびれてしまう。
茶一郎

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