滝和也

サイボーグ009の滝和也のレビュー・感想・評価

サイボーグ009(1966年製作の映画)
3.5
紅いマフラー
なびかせて
進めサイボーグ
我らの勇士

人の心の醜い欲が
生んだ黒い幽霊団に
改造された正義の
サイボーグ!

「サイボーグ009」

石ノ森章太郎先生が生み出した傑作漫画にして原点のアニメ化第一弾。戦争を憎み、平和を願い、自由を愛する先生の願いが込められた正に原点です。

カーレーサー島村ジョーはレース中に事故を起こし、救急車で運ばれる。だがそれは黒い幽霊団(ブラックゴースト)が仕組んだ罠であった。幽霊島に運び込まれた彼はサイボーグ手術により蘇る。突然のテストに驚く彼だったが、強化された鋼の体、身体能力で危機を脱する。そして彼の前にブラックゴーストの兵士、ギルモア博士、八人のサイボーグ達が現れる…。

サイボーグ009第一巻の誕生部分及び第一部から抜粋されたストーリーであり、アニメ映画化に辺り、いくつかの改変を行った作品です。この短尺では如何せん語り尽くせる内容ではなく、TVアニメ化前のパイロットフィルムと言うイメージです。

原作は既に大人の鑑賞にも耐える作品であり、設定・物語のハードさをややマイルドにし、子供達向けに変更していますね。007が英国の売れないシェークスピア役者から子供に変更されている点が代表ですね。(よりコメディリリーフとはしての役割は強めですが)またわかりづらいとされたのか009の加速装置の描写もありません。島村ジョーの出自も不良少年ではなくカーレーサーですし。またハードなゼロゼロナンバー達の出自は003以外はカットです。

アニメ作画では当時では最高峰の東映動画ならではのアクションを展開してくれますが…後半009、007、006、003に絞られてしまうのは…(T_T) 作画の量の問題か、TVに美味しい所をとっておいたのか、わかりませんが…やや残念。わかりやすく009をフューチャーして作られている故かもしれません。当時集団ヒーローは無くて、子供達にわかりやすくしている故でしょう。

ただ戦争を憎み、自由と平和を愛すると言う石ノ森章太郎先生がこの後、仮面ライダーでも語る理念はストレートに伝わる内容ですし、悪の力から生まれた正義のヒーローと言うプロットや集団ヒーローと言う形は009が原点であることは間違いなく再確認できます(^^)

それと勇ましい主題歌、音楽は素晴らしい。009シリーズは昭和版の誰がためにも素晴らしいのですが、こちらも中々。思わず口ずさむような勇壮なテーマ曲です。

009を始め声優さんも素晴らしく、特に003フランソワーズの声がジュディ・オングさんで可愛らしい。魅せられてでレコード大賞に輝くのはこの遙か後です。007も曽我町子様が可愛らしくて見事なコメディリリーフぶり。曽我町子さんは石ノ森章太郎先生の戦隊もので大人気となる敵役へドリアン女王を後に演じました。

サイボーグ009は大好きで原作全て持ってます(^^) 石ノ森章太郎先生の作品はほぼ買い揃えてますが…(笑)ゼロゼロナンバーサイボーグの個性が素晴らしく、その悲しみから巨悪に立ち向かう勇気が何よりも好きでした(^^)では名台詞で終了です。

「お前の能力はそれだけか!」

「後は勇気だけだ!」

これは入れて欲しかった…。
滝和也

滝和也