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青春群像のKKMXのレビュー・感想・評価

青春群像(1953年製作の映画)
4.5
 本作は名作『道』の前に撮られた作品。1950年代のイタリアにおける、ニートを描いた作品です。登場人物の仲良し5人組が揃いも揃ってほぼニート(1人だけできちゃった婚でチロっと働くけどすぐ辞める)という、筋金入りのニートガーエーでした。とにかく、6〜70年前からニートがいたなんてとっても心強いです!働いたら負けだと思っているッッ!
 しかもコイツら30歳くらいですからね、シビれますよ。


【登場ニート】
①ファウスト
 おそらく主人公的存在。できちゃった婚でニートから強制卒業させられたクズ人間。美人で健気な妻がいるのに女と見ればすぐに手を出すゴミ。就職先の地味な50代くらいのおばさんに手を出そうとしてクビになる。
 嫁さんの実家に居候している。よく平気な顔で暮らせるなコイツ。

②アルベルト
 お調子者のニート。実家住まい。ピエール瀧似。酔っ払うとタチが悪い。美人の姉がいて(かなりのパツキン美女💕)姉に寄生している。一方でシスコンでもある。
 姉が家を出たあと、「母ちゃん俺働くよ!」と一回だけ威勢よく言う。もちろんその後は働かない。モテない。

③モラルド
 ファウストの美人妻サンドラの兄。グループの中では年下っぽい。落ち着いていて品があり、思慮深い。とはいえ実家住まいのニートであることは変わりない。雰囲気に騙されがちだが、ファウストに押し切られて悪事に加担するなど、ロクデナシである。
 子どもなのに労働しているグイド少年と仲が良く、夜によく話をしている(その後グイドは少年なのに出勤し、モラルドはブラブラする)。

④リカルド⑤レオポルド
 影の薄いニート。抑えなくてオッケー。


 ファウストのエロ狼藉振りは爆笑とドン引きのギリギリの線を攻めてます。一番ウケたのは、映画館での出来事。
 ファウストは妻と映画を観に行ったところ、妻とは逆の隣にエロい熟女を発見!さっそくファウストは自分の足で熟女の美脚をツンツンする痴漢を敢行!熟女はハァ?とキレて途中退出。これで終わればいいものを、ファウストは妻を置いてノコノコと劇場を後にして熟女をストーキング!
 家の前で追いついてナンパ敢行!しかも強引にキスまでする始末。熟女うっとりしてる場合じゃねーだろ!
 結局熟女に袖にされたファウストはすでに映画を見終わった妻に平然と合流。「エンディング、誰か死んだ?」とマジでテメェ何考えてる?と問い詰めたくなる声かけで妻は涙目です。ファウストすげーわ。

 ファウストの狼藉は続き、妻が愛想を尽かして出奔する事件が発生しますが、この後、ファウストは実父にベルトで折檻されます。
(注…ファウスト:30歳・無職・妻子アリ)
 俺は親から子への暴力シーンは大嫌いなのですが、さすがにこの時は「お父さん、もっとヤレ!」と応援しましたね!正直ギロチン刑でも良かったと思います!


 そんなバカニートガーエーでしたが、エンディングだけはちょっぴりグッと来ました。バカ軍団の中で1人だけこの負け犬だらけの街を後にする人物が現れました。マジでこんなとこにいたら一生ニート間違いなしなので、この終わり方は爽やかでしたね〜。

 原題には『乳離れしない仔牛』という意味があるそうです。ニートども乳離れしなさすぎ!ファウストはあらゆる乳に食らいつきすぎ!
 しかし日本語タイトル、コイツら青春じゃねーだろッッ!
 まぁ…ロクでもないガーエーでしたが、とにかくネタ映画としては最高ですね、最高!思い出しても笑ってしまいます🍉

 ちなみに字幕は岡本太郎!自分の中に毒を持てッッ!
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