群青

秒速5センチメートルの群青のレビュー・感想・評価

秒速5センチメートル(2007年製作の映画)
3.5
おれなんて、どうせダメな男さ…とか思っちゃうかまってちゃんにはオススメな作品。
バカになどしておりません。結構な人に訪れると思います。そういう時期。かくいう僕も、うわなにをする


全部で3作の短編で構成されている。小中、高校、大人、と異なる感覚で男女のすれ違いや淡い恋が描かれる。


まずは最初の桜花抄。
話は東京から栃木へ中学校を機に離れてしまった女の子の元に行く。だけなのだが、雪で電車が止まってしまい立ち往生になる。ここからずっと待つ。ひたすら待つ。
やきもき具合がハンパない。時代設定上、携帯なんてない。
今頃の子供はあんまりわかないだろうなぁ、あの感覚。
女の子は自分のために待ってくれてるんじゃないだろうか。いやいや諦めてとっくに帰ってるんじゃないか。そんな感じでひたすら待つ。せっかく書いた手紙も風で飛ばされてしまう。
ひたすら待たされただけあって、駅に着いてからの流れは良かったなぁ。安堵とドキドキと少しの不安と。

まずここで陰キャラにはクリティカルヒットだ。こげなおなごがおればのう…と言う感じ。


次はコスモナウト。舞台は種子島。これは主人公に恋する別の女の子の話だ。個人的にはこれが一番好き。
女の子はサーフィンをしているのだが、スランプに陥っている。そこで、もう一度、波に乗れたら告白しよう、なんて思う。

陰キャラには、

こ う か は ば つ ぐ ん だ !


そしてこの女の子、健気に主人公の帰り時間まで待つ。しかも部活がーとか、今ちょうど帰るとこーとか言い繕って。
陰キャラには

会心の一撃!

うわなにこれ、かわいすぎんだけど。おれにくれ。キュンキュンする。
しかももう一度波に乗れたら、なんて出来そうにない事を条件に出してしまっている所が可愛い。それって結局、言わないって事なのに、必死に頑張る女の子。うーんやきもきさせるなー。そしてついに…
コスモナウトは宇宙飛行士。宇宙に向けてロケットが打ち上がる。ロケットが地球を猛スピードで離れる。2人の心はどうなったのか?


そして最終ラウンド。
ここはもう矢継ぎ早。主人公も大人になって、女の子も大人になって…その展開に陰キャラは息も絶え絶え。いや、死んでるかも。

おれってば今までなにしてたんだろう。今までの話にキュンキュンしていたら、突然やってくる虚無感笑

見る人によって、こんな青春なんて…チクショウ!とか、似た様な体験あったなー、というノスタルジーにハマるか、最近失恋して感傷に浸りたいっすよ、あーこれだよこれ、やっぱ、おれってば。という自虐になるかのどれかだよなーと思う。

そんな各々の過去の情景をとても美しく見せる為か、映像の美しさが半端ない。こんな風景は絶対にないのだが、そう思わせる説得力が凄まじい。過去は美化される、というのがよくわかる。


感傷に浸った後の現実を思い知らせる良い映画。
群青

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