群青

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースの群青のレビュー・感想・評価

4.5
2023年劇場鑑賞8作目。
吹替で。


最も好きなヒーローがスパイダーマンで実写映画はどれも好き。

なんだけど、何故か前作スパイダーバースは、その熱が全くないくらい響かなかった。
恐らくおれはスパイダーマンはアニメではなく実写で観たいのだと思う。そしてアメコミ(実写)映画は好きだけどアメコミの絵柄はあまり好きになれないからだと思った。
単純に好みじゃないから。

身も蓋もないんだけど笑


しかし今作はそれらを全て跳ね除けて数少ない劇場鑑賞作品の中で今んところ今年ベストでした。めちゃくちゃ面白かった。
久しぶりに観たあと、心の底から面白かったーと思いながら劇場を出れた。本当に。
こんな経験はアルゴとキャプテン・アメリカ ウィンターソルジャー、マッドマックス怒りのデス・ロードくらいか。パッと思い出すだけでも。
この理由は明白でいずれも自分の中でハードルをあげてなかった、内容も特に気にしてなかった、失礼な言い方だけど期待していなかったということだと思った。心底主観で申し訳ないんだけど…

これは別に他が良くなかった、というわけじゃない。ドラマとかシリアスなものとか面白いのはたくさんある。でも特にアクションとかは劇場鑑賞だと一種のライド感があるから、その部分が凄まじく良かったから。


前作では矢継ぎ早に繰り出されるセリフや間が気に入らなかったけど今作では気にならなず、というかあまりのテンポと繰り広げられるあまりの展開のスピード感に、前述したようにまるでジェットコースターに乗っているかのようだった。いや、糸でスイングしているよう。
終わるまであっという間だった。

しかもあまりに面白すぎるので、まだ終わらないでくれ、とかも思っていたし笑
そして展開の目まぐるしさに、終盤ここでエンドクレジットか?と何度か思ったけど、え?まだ続く?まだ続いてもらっていいんですか?まだ見せてもらっていいんですか⁉︎と、完全に屈していました笑

前編後編で分かれてるけど全くそんなことは気にならない。確かにクリフハンガーで終わるんだけど今作で見たいものを全て見せてもらった上での続く、なのですごく心地よい。
バックトゥザ・フューチャーPart2とかスターウォーズEP5をリアルタイムで見た人はこんな感じだったのかな?と思うくらいに、心地よい続く!だった。
個人的にこの2作品が同じくらいの好きかどうかは置いておいて笑


当然のことながらアクションは数段もパワーアップ。楽しー!
ストーリーもパワーアップ。というかまじで他とはバース(次元)が違う。


マルチバースというテーマは最近すごく増えてきているんだけど、今作の場合はそのテーマとストーリーが密接に関わっており、主人公が何故主人公なのか、ということとマルチバースの(作品内の)ルールとこれまたうまいこと合致しており、上手過ぎーと感心しまくっていた。
よくできている、でき過ぎである。


スパイダーマンがスパイダーマンたる所以はどこにあるのか?
それは大いなる力が大いなる責任になることを、言葉ではなく身をもって体験すること。
逆にそうでなくてはスパイダーマンたり得ない。
今まで散々やってきた実写映画があったからこそ観客にも分かる悲しき運命。

スパイダーマンはもしかしたらその因果がなければ真の意味でスパイダーマンじゃないんじゃない?という悲しき事実を突きつけられる。
しかしここで主人公はその運命に抗おうとする。今まで全てのスパイダーマンがやるには遅すぎたその運命に初めて抗おうと。

ここで同時に主人公という異分子が何故異分子なのかが分かる。
何故彼かというと、彼だけがスパイダーマンの成り立ちが因果の外から生まれたものだから。
そしてその事実によって、因果を断ち切れる可能性があるとしたらそれは彼しかいないと分かる。

全てマルチバースという切り口で語り切っている。脚本が上手くできすぎててビビる。

ストーリーとアクション、キャラクターの心情と変遷がテーマと合致して一つの終わりへと収束するライド感。
マルチバースという何次元も絡んだパズルがどんどんハマっていく爽快感。

全てが最高潮でラストに至る。しかもこの後があるのだ。

えええー!?まだ楽しませてもらっていいんですか!?こんな夢心地にまだ浸ってもいいんですか!?という心情である笑

一点だけ気になってしまったのは、物語の都合上そうならざるを得ないのは分かるけど、そうは言っても数多いるスパイダーマン達がほぼみんなその因果を仕方がない、として諦めるのはどうなんかなと笑
いちおう味方してくれるスパイディもいるんだけど…


あとは、みんなが観た後あいつはかっけえ!と思うに間違いないパンクなスパイディ。ホービー。かっこいいよね、彼(うっとりしている女の子の顔)
最高だった。吹替の木村昴もアナーキーな感じで最高だった。
インド スパイダーマンの佐藤せつじも最高だった。チャイ・ティーじゃねえ!チャイだ!!!笑


ヴィランとなるスポットも最高。
コメディ調でちょっと小物感があるのに、しっかり最強の敵らしい狂気を孕んでいく過程が凄く良かった。
彼もまた運命に翻弄されてしまったキャラクターなのだが、後編でどうなるのか…彼の行く末もまた気になるところ。

次元が違うということはデザインも違う、というのでバースによって描き方を変えてるのも最高。
音楽も最高。
もう全部最高だよ!

全ては最高〜!

あ、レゴのスパイディも出てた!しかも吹替はサム・ライミ版の猪野学だった。というかピーター2,3もちゃっかりアーカイブ出演笑


最後、エンドクレジットでやたらスタッフを表示しない間が長いなと思ったら吹替版は原語の吹替を表記を消していたため、というのがわかって腹が立った。全く関係だろ、消す意味がわからん…


いやー思い返しても最高ってことは最高なんでしょうね。マジで。オススメ。
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