Fitzcarraldo

モダン怪談100,000,000円のFitzcarraldoのレビュー・感想・評価

モダン怪談100,000,000円(1929年製作の映画)
3.0
サイレント期からトーキー初期にかけて前衛的ナンセンス喜劇映画を量産した斎藤寅次郎監督の現存する最古の喜劇作品。

2004年秋に、地方の旧家に特別にこしらえたという通気性のよい蔵の中で、きわめて良好な状態で眠っていた古い16mmの短縮版フィルムが発見された。その時に発見されたのが本作。

映画保存協会によると…
「封切されたオリジナルの題名は35mm版が現存しないために明らかではない。斎藤寅次郎監督の現存する作品としては、『明けゆく空』の次に古く、斎藤喜劇としてはもっとも古い作品のようである。当時の雑誌によると、この作品は松竹蒲田撮影所が募集された懸賞台本の入選作が映画化されたもの。『モダン怪談100,000,000円』の脚色を手かげたのは、喜劇から人情ものまで幅広く活躍した名脚本家・池田忠雄である。あらすじは、駆け落ちした若いカップルが当時国定忠次の埋蔵金ラッシュで賑わう赤城山に彷徨いこみ、不気味な住人や幽霊たちと渡り合うというもの。若いカップルに斎藤達雄と松井潤子、娘の両親が坂本武と吉川満子といった一般にも小津映画でおなじみの面々が出演している。とりわけ斎藤達雄の長身二枚目でヤワなキャラクターは見ものである。小倉繁演じる国定忠次(ただし幽霊)は、当時一世を風靡した『忠次旅日記』(1927)の大河内傳次郎の巧みなモノマネ。キッと見開いた眼光の鋭さと重心の低さは大河内を彷彿させる。さらに田中眞澄氏の指摘によると、チョイ役だが笠智衆らしき人物が写っているそうである。小会メンバーは誰も気づかなかった」(映画保存協会HPより)


現在でも全く遜色ない喜劇。

棺の中から手が出てきて、お供え物の団子を盗むカットなんかはもう常套手段のようにバラエティ番組で何度も擦られてきたネタ。

幽霊の国定忠治が消えるシーンは見事に消える。さらに勘太郎という子を忘れていったので、また現れては、勘太郎をおぶってまた消えるというカブせを見せる。

そして窓際の花瓶が下に落ちると、びっくりしてテンポよく木魚を叩いていたのが隣の嫁を叩いてしまう…この辺もね今となってはベタベタだけど、やっぱり笑ってしまう。

サイレントで笑わせられるというのは、魅せる技術が必要であろう…この人はイロモネア出たらサイレントには強いだろうな。

「金さへ有りやあ結婚してもいゝよ」
と何ともけったいな父…

木魚を叩く若者二人で、突然シャットアウト。

んぅ〜ん…フィルムが見つからないので致し方ないのだが…この後の展開は気になる。
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