アキ

地獄のヒーローのアキのレビュー・感想・評価

地獄のヒーロー(1984年製作の映画)
3.3
何十年ぶりかで地獄のヒーロー鑑賞。映画を見始めることが常となって以後3,4作目あたりに見た作品ですから、かなり懐かしい感じもします。チャックがハチャメチャに暴れまくる映画だったと記憶していたのですが、案外前半控えめでした。ベトナムに乗り込み燃えてランボーが如きになるのは後半も1時間が過ぎてから。囚われの仲間を助けるべく小型船でベトナムへ向かい、ジャングルを抜け、見つけた捕虜収容所で敵を殲滅するも、すでに仲間は別の場所へ送られてしまったのだと聞いて、また颯爽とジャングルを抜けボートに乗り込み確認した敵船舶へ向かって機関砲を激しく乱射する。いやっ、この圧倒的なまでの迫力たるや!凡なる言葉なぞ単なるデクノボウである!至るまでの数百の突っ込みもむなしく浅き露と消え去るのみ。もうこの辺のチャックのアクションの流麗さは同じくちゃっくの顔の流れの絶えて久しきと比べるに3Dのように浮き出て素晴らしい。前半もうちょいテンポよく進んでくれればよりこちらも燃えていたのですけど、まあでも何十年ぶりかで久方見た地獄のヒーローチャックノリスは実に天下無敵のワイルドダンディでございました。
後これはひどく痛感したのですけど、この時代に撮られた作品ってのは本当に自由度が高いというか、作り手のやりたいようにやれる許容範囲が広いといいますか。携帯、パソがまだ普及せぬ前の物語展開には行動的な合理性やら矛盾やらを事細かく潰していかずともただかくあるべしを純粋に追及できるんですよね。ちゃっくが地上10メートルの高さにある電線的なものにぶら下がって下にいる敵に見つからず窓から窓へ伝っていくアクションなんざその時代にあってはそのリスキーな方策を採る以外にまさに方法がなかったわけですから。アイパッドやらSNSなんぞがあまねく広がる現代にあってはそんな危険を冒してまで向こうビルへ渡らんでもいくらでも敵をやり過ごす方法は見つかりそうなものですが、そんなことを考えている時点で、しかし僕はすでにもう80年代のマナコを失ってしまっているのだろうと思うと酒の一杯も飲みたくなるわけで。
アキ

アキ