ひろ

巴里のアメリカ人のひろのレビュー・感想・評価

巴里のアメリカ人(1951年製作の映画)
3.5
主演ジーン・ケリー、監督ヴィンセント・ミネリで製作された1951年のアメリカのミュージカル映画

第24回アカデミー賞で作品賞をはじめ6部門を受賞した

ミュージカル映画全盛期の作品で、製作・配給はミュージカル映画を牛耳っていたメトロ・ゴールドウィン・メイヤー。この時代のミュージカルはスターを軸にしたシステムが主流で、この作品ではミュージカルの大スター、ジーン・ケリーが主演と振り付けを担当している。

フランス映画なんかはロケ撮影が主流だったりするけど、この時代のアメリカ映画は、スタジオにセットを作って撮影するのが当たり前。パリの街並みを再現している。セットなのは観れば分かるけど、それはそれで味がある。アメリカの映画にはアメリカの映画の楽しみ方があるのだ。

秘密を持った2人の恋愛を描いたミュージカルで、そこまで話に膨らみはないけど、この時代のミュージカルは、夢がある作品が信条なので、夢のある作品になっていた。ジーン・ケリーは、どう見ても画家には見えないけど、爽やかでキレのあるダンスはさすが。そのジーン・ケリーに見出だされ映画デビューを飾ったバレエ・ダンサーのレスリー・キャロンも、ジーン・ケリーとのモダン・バレエで輝いていた。

この作品の醍醐味は映画音楽だ。ポピュラー音楽でもクラシック音楽でも活躍した「完璧な音楽家」こと、ジョージ・ガーシュウィンが担当している。作詞は兄のアイラ・ガーシュウィンが担当している。「ラプソディ・イン・ブルー」を知らない人はいないと思うけど、ジョージ・ガーシュウィンはアメリカ音楽史最高の作曲家だろう。

ラスト18分は台詞なしで、ガーシュウィンの音楽とモダン・バレエだけで表現するという斬新さ。パリが舞台なだけに芸術的な表現にしたんだろうけど、そこで好き嫌いが分かれそう。ミュージカル映画がオスカーを受賞することも多かった時代のミュージカル映画の傑作なので、純粋にミュージカルを楽しんでほしい。
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