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バットマン ビギンズのruublueのレビュー・感想・評価

バットマン ビギンズ(2005年製作の映画)
4.0
バットマン ビギンズ 
視聴11月27日

2019年上映のジョーカーストーリーの中で大富豪の両親を殺害されて雨の夜に立ちすくむ少年の姿があった。時を経て少年は大人になり、トーマス・ウェインの息子ブルース・ウェインがバットマンとなり悪と対峙する事を決意する、ノーラン監督3部作最初のお話。


孤児となったブルースを育てたのは執事のアルフレッドであり、親の愛を知らない子供時代を過ごしたブルース。青年期の彼は自身に課せられた運命に押し潰されそうになり刑期を終えた殺害犯人を殺そうとする。「お父上が恥じておられますよ」幼馴染みのレイチェルに叱られ、危うく道を踏み外さずに済んだのだった。


(ジョーカー vs ブルース)
周囲の理解が得られないという理由でジョーカーになった一人の男と、両親を殺した犯人に仇を撃とうとした若きブルース。その時点での二人に大きな違いは無い。二人の運命のその先を分けたものは自分を案じ、信じてくれる存在の一言だった。


決して力でねじ伏せた訳では無い、幼馴染の言葉。その声は例えささやかなものであっても両者の違いは後で大きな違いとなる。大きな場面では無いが好きなシーン。



バットマンのストーリーには終始一貫して闇と光の両極がある。両者は決して相容れないようでいて天秤のように引き合い、押し合う運命にある事が繰り返し示唆されている。

「正義とはバランスだ。」
「人間は何故落ちるのか。それは這い上がる為。」セリフの一つ一つが普遍的で、痛い迄に骨身に染み込むような作られ方だからこそ長く語り続けられる物語のように思う。



ホアキンジョーカーの難解さから見始めたバットマンシリーズだ。一話観て消化する迄に時間が掛かる。勧善懲悪ものとは一線を画すその重たさは、あたかも清濁併せ呑むような後味に包まれる映画と言いたい。
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