このレビューはネタバレを含みます
映画制作に行き詰まった監督の、交錯する現実と虚構。
イタリア映画界の巨匠、フェデリコ・フェリーニの代表作。
冒頭、衆人環視の中で煙の充満した車から脱出した主人公は、空を飛び、そして落とされる…という夢。
いきなり何かしら意味深な感じで引っ張り込まれるが、どうもこの映画の筋書きが読めない。
それは現実と虚構が錯綜しているからということもあるけど、劇中でも言及される様に「エピソードの羅列にすぎない」とか「記号が意味をなさない」とか、確信を持ってこの映画を作っているところにもあると思う。
映画を作る事にひたすら苦悩して、ついには現時逃避そのものを映画にしてしまったフェリーニ。
しかしそれでも前向きな方に持っていくところもまたフェリーニらしさなんだろうか。
構成の巧妙さは今でも色あせるものではないけど、だと言って面白いかと聞かれれば俺には合わない部分が多かった。
そもそもこの主人公の監督は、妄想の中でハーレムを作ってしまうというような女に囲まれた人物だしねw
後半、カメラテストと称して女優に語らせる台詞が主人公の妻のそれで、周りの人物に「これって事実でしょ」と言及されるシーンには、監督という生き物の悲しさも感じました。