クリエイティブって、頭の中にあるモヤモヤした形のないものを文字や絵または音で第三者がわかるように伝えることだと思う。
創造性よりは伝える力が重要ではないかと。
だからひとの頭の中自体は全く我々には捉えようがない不思議な世界のままで、それを他者が触れられるように加工するのが“才能”である。
で、何故こういう事を書いたかというと、この作品のレビューを文字で書くことほど難しいことはないと、先に白旗振るために書いた次第であります(俺も才能欲しいよぉ苦笑)
難解と言われるフェリーニ60年代を代表する作品。
この映画は次回作の構想に悩ます療養中の映画監督(M・マストロヤンニ)のその頭の中を描いた作品であり、それはそれは難解になるのは至極当然だと思う。
ただやっぱりフェリーニ巧いなぁと思うのは、ワケわかんない映像をテンポ良く繋いでるというところで、内容はわかんないけど面白さだけは伝わってくる。
このテンポの良さは他の人が真似しようとしても真似できない点だと思う。
監督は休養を取りたいのだが、プロデューサーや批評家、家族、愛人、それ以外の取り巻きが療養地まで押し掛けてしまい、ますます頭を悩ませてしまう。
プロデューサーは興行のことばかり気にして、インテリを気取った批評家は知識をひけらかすし、夫婦仲が冷めきった奥さんの視線が冷たいし……ホントに奥さん役のアヌーク・エーメの目が怖い(笑)
そして構想がまとまらないまま、建設されてしまう巨大ロケットのオープンセット。これが洒落にならないくらいバカでかさなのである。
現実と虚構が入り交じり、段々と追い詰められた主人公は……。
劇中、主人公が語るように“才能のない嘘つきの末路はどうなるのか?”、これが本作のテーマのひとつのように思う。
ラストで登場人物が勢揃いして輪になって踊るシーンの楽しさとは裏腹に、とてもとても残酷な映画でもある。
■映画 DATA==========================
監督:フェデリコ・フェリーニ
脚本:フェデリコ・フェリーニ/トゥリオ・ピネッリ/エンニオ・フライアーノ/ブルネッロ・ロンディ
製作:アンジェロ・リッツォーリ
音楽:ニーノ・ロータ
撮影:ジャンニ・ディ・ヴェナンツォ
公開:1963年2月15日(伊)/1965年9月26日(日)