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さすらいのエディのレビュー・感想・評価

さすらい(1957年製作の映画)
2.8
一人の男の愛無くては生きられないサマを描いたミケランジェロ・アントニオーニによるロードムービー。ネオレアリズモの名作と言われているが、現実的とは思えない設定や完璧な男目線での女性の描かれ方に共感を覚えることが出来なかった。

工場労働者のアルドはある日内縁の妻イルマから別れを宣告される。復縁を願ったのだが適わなかったので、幼い娘を連れて放浪の旅に出ることになった。昔の彼女の元に行っても落ち着かず、ヒッチハイク中に寄ったガソリンスタンドを経営する中年女性ヴィルジニアと意気投合して一緒に住むことになるが、そこも長居できず、今度は娼婦アンドリーナと出会うが。。。

この映画は完璧に主人公アルドの男目線だけで描かれている。なので、アルドの周囲の女性達の描き方は全て中途半端で、尻切れトンボのように終るのだ。冴えない風貌でいつまでも内縁の妻が忘れられずにくよくよしている情けないアルドなのにどういう訳か女達にもてるが、アルドが片っ端から捨てていくのだ。

マザコンみたいなアルドがもてる理由が良く判らないし、非常に身勝手な主人公だけにフォーカスを当てているので、共感できない。

かといって女性たちの描写は不十分だし、最後まで執着している女イルマを全く魅力的に描かず性悪の女で描いているのだ。イルマは冒頭でいきなり別れ話を切り出すだけでその魅力が全く判らないので、なぜ主人公がこの女に執着したのかが不明のままストーリーが展開していくので、その後出会う女性との比較ができないのだ。

様々な女遍歴をしても、男は一人の女をいつまでも未練がましく思い続けるという純愛さを伝えたいのかもしれないけど、自分には身勝手なくよくよ男が妙にもてるという現実離れした設定なので、最後まで作品に入ることが出来なかった。
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