針

炎628の針のレビュー・感想・評価

炎628(1985年製作の映画)
4.5
最近高評価が多すぎますが、すごいと感じる映画が多いので致し方なし(とても嬉しいです☺️)。

1985年製作のソ連(ロシア)映画。
舞台は1943年の白ロシア(いまのベラルーシ辺り)。ナチス・ドイツ軍の占領下にある同地で、抵抗軍に参加したひとりの少年が目にする“戦争の姿”を描いた作品。

楽しさの成分は全体の5%ぐらいで、あとは極限状況下での死、殺戮、耐えがたい苦しみの感覚がずーーーっと続いていく感じ。
あとこれってすごい音響映画でもあると思う。
いろんな音が重ねられた不安な音楽?がほぼ絶え間なく響いているなーと。特に前半では落ち着かない映像とも相まって、死の危険と信じたくない現実に直面して壊れかかっている主人公たちの心理の表現のように思えました。あとはうまく言えないけど、ちょっと画面に合わない感じでセリフを挿入したり、BGMに悲鳴のような声を織り込んだりして、それらが後半の阿鼻叫喚に繋がってくような感じがします。個人的には感触が比較的派手(という言葉はそぐわないけど)ではない前半のほうが面白かったかも。

しかし後半はまさに筆舌に尽くしがたい感じで、あまりに酷すぎて口をぽかーんと開けながら観てました。
戦争映画といってもジャンルエンタメとしてのそれではなく、取っ付きやすい物語のラインに乗らないまままるで本物のような地獄絵図が続き、しかしその過程に(こう言っちゃなんですが)ものすごい迫力と臨場感があってよかったなーと。

あとは登場人物を真正面から捉えて、彼/彼女がまっすぐこちらを見つめてくるアングルが多くてすごい圧。これ見てあんたはどない思うん? みたいなことを問われてる気がしてしまう。ラストもすごい。

ということで全然楽しくはないんだけど圧巻の作品でした。人によっては飽きちゃうかもしれないけど個人的には傑作と言ってもいい映画かもと……。

ラストについて一言。
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