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ベロニカ・フォスのあこがれの10000lyfhのレビュー・感想・評価

3.0
過去の栄光に生きる中年女優の肖像、彼女を含め裕福な患者をモルヒネ漬けし財産を奪う悪徳精神科医のクライムストーリー、以上の二大テーマを、巻き込まれたスポーツレポーター男性の目を通して描く。時代設定の 1950年代の映画風を意図したのか、後期ファスビンダーでは珍しいモノクロ作品。作中でも言及される、光と影を強調した重厚な作風で、ファスビンダーらしさが薄い(本作についてはいい意味で)。凝った影付きセリフ体フォントのタイトル、今なら動画編集ソフトフェアに入っているようなチープなトランジションの濫用、粒子の粗いフィルムでコントラストを出した過去の戦時中シーンなど、遊び心は多い。サウンドはあまり凝ってないが、NATO 設立を伝えるラジオ放送などがらしい。奇襲的に現れた女優と共に、デート中のパートナーを置き去りにして去るレポーターがクズ過ぎて引いた。終盤、女優の夢の中の「(人生)お別れパーティ」シーン(マリエンバートを彷彿)と、薬の切れた現実シーンとの交錯が凄い
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