えるる

フルメタル・ジャケットのえるるのネタバレレビュー・内容・結末

フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

bone to killとキルとピースマークで二面生がテーマ。
最初の訓練所からハートマン軍曹の口の悪さが炸裂しまくってクズ、カス、クソ、マラ、けつの穴、マ⚪︎コの連発すぎて下品極まりなくて笑ってしまうが、人間性を失うには十分すぎる訓練。ジョーカーがいつも微笑みデブを助けて、面倒見役になっても優しくしてたから友人になるかと思い。もしや戦場も同じ戦地に送られるのかと思いきやボコられた事で豹変し始めるデブ。卒業当日の大暴走。ここでジョーカーが主役なのだと初めて分かる。
戦地は当時南北に分かれ戦争をしていたベトナムにアメリカが介入したベトナム戦争。
敵を殺す事を何とも思わなくて良いという訓練を受けてきた海兵達、戦争に出た事を頭ではわかっているがいまいちわかっていないインタビュー。敵を殺す事は高揚し喜ぶが仲間が死ぬ事は怒りを覚える。自分達は優位人種であるという擦り込みによる同じ人間であるという事が麻痺する戦場。アメリカの戦争映画では戦地での束の間の休憩でお前の親族に突っ込んでやるぜ的なジョークはお決まり過ぎて人は生死の堺にいるとこういう事言いたくなるのか?とちょっと好きにすらなってくる。乱戦で打ちまくってる時は敵の死は見えないのに死ぬ寸前のスナイパーの女の子のとどめを刺すをのを躊躇うジョーカー。

一部と二部、戦場での若者達の言動と行動、微笑みデブの変化、ハートマン軍曹が全然ハートマンじゃないのも二面生だろうか?
戦闘シーンは少なめだが1970年代後半のベトナムの町や村での銃撃戦のシーンは1988年日本公開の映画だとは思えない位に凄い。最初のバリカン、ドーナツと腕立て、戦車で攻撃中に並んでいる兵士達を追うカメラと背中から追うカメラワーク。
全体的に音楽の使い方が良く、ハートマン軍曹がランニング中に歌う海兵隊独特のリズムの歌、別の映画でもたまに聞く。歌詞はその時々や替え歌の様に変わるみたいだがなんか好き。
最後のミッキーマウスマーチと燃える戦場を帰還のために歩く大隊
戦争映画にこんな事言うのも何だが最初から最後まで撮り方、歌と音楽の使い方が最高だった。

戦争映画としては物足りなさは感じます。反戦という感じで戦争を皮肉った映画ではあると感じます。子供に戦争の事を知ってもらおうと思って見せる映画ではなく、戦争して意味があるのか?を考える大人が見る映画だと思う。ストーリーに完結を求める方には向かないです。
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