えるる

ある男のえるるのネタバレレビュー・内容・結末

ある男(2022年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

俳優さん達が豪華で主演の方以外も演技派ばかりなので凄い引き込まれた。安藤さくらさんは本当に凄い。榎本さんの怖さも凄い。渋くなった妻夫木君の出演している映画は大抵面白いと安心して見れる。胸糞映画好きとしては期待してしまったが爽やかエンド。

第二子を病気で亡くし夫と離婚し実家宮崎でシングルマザーをしている安藤さくらがふらっと宮崎にやってきたよそ者の「谷口」と再婚し前夫の息子と谷口との娘と幸せな生活を送っていたが、事故で谷口が亡くなり一周忌に谷口は谷口大祐ではないことが判明する。では誰なのか?前夫との離婚調停の際の人権派弁護士の妻夫木君に調査を依頼。妻夫木君は在日三世、彼は差別などを感じている人。
難航しながらも伊香保温泉の次男の谷口が戸籍交換をしている事に辿り着き仲介人の囚人の榎本さんに会いに行く。谷口と曽根崎。
死刑囚の絵の展示に亡くなった谷口と同じタッチの絵を見つけその息子の原誠に辿り着く。死刑囚の家族として差別を受けて来た誠、自分を殴りたいからボクシングをし父に似た顔の自分に怯える。戸籍を変えて別の人生を。彼は別人として2回戸籍を変え宮崎へ。本物の谷口はひっそりと暮らしていた様子で元恋人と再会。
安藤さくらと息子はお父さんの真実を知ったが父が好きで父は自分を好きだったろうと安心。
妻夫木君は在日三世としてのヘイトを受けて来たから戸籍を変えたい原誠と谷口大祐の気持ちがわかった様子。最後はBARで二度と会うことのない人に自分の経歴を原誠同様の嘘をつく。

窪田正孝が真面目で優しい青年である事がなお辛さを増す境遇で同情してしまう。本当に最後の数年間宮崎で幸せな日々をおくれて良かった。
在日と死刑囚の息子として差別されて来た人達の苦悩と温泉旅館の息子という実家を持ちながらもそれに苦しんできた人をこの物語で見たがそれ以外でも戸籍を変えたいと思う人は結構いるのではないだろうか?だが、それによって突然周りの人間を不安の中に落とす事もある。
この前に「市子」を鑑賞したので戸籍に縛られる人を重ねて見た感じがした。

面白かったです。
えるる

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