どーもキューブ

フルメタル・ジャケットのどーもキューブのネタバレレビュー・内容・結末

フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

キューブリック監督のベトナム戦争を見て感じたこと

(わりと長文失礼、注意!)


1987年
原作、脚本グスタフハスフォード。
製作、脚本、監督スタンリーキューブリック。



お気に入り映画監督の1人、スタンリーキューブリック。数多くのフォロワーとファンがいるこだわりの映画監督だ。

わたしのキューブリックと見てきた感じをツラツラ記す。

見た順番は、
最初「シャイニング」ビデオ(高校生の時みた)
「時計じかけのオレンジ」ビデオ発売時レンタル
「フルメタルジャケット」をみた。

「ロリータ」(アブノーマルなアダルト映像と比べると「ロリータ」に見えない映像齟齬を感じた。)
「スパルタカス」(キューブリックの唯一普通娯楽作品)
「博士の異常、、(略)」(一言で言い表せないブラックさ)
「2001年宇宙の旅」
をビデオで見た。

「2001年、、」年だけは別格だった。なんか違う次元の映画というか環境映像作品にみえた。また平常心ではなかなか見れない複雑さがあり今の今まで全く見直す気力なし。だが、たびたびオールタイムベストで本作が入ってきたことに違和感は感じていた。
オールタイムではないやろう、

見せ方捉え方が異質

なだけで月1で見返したいとか愛好するにはほど遠い作品に思っていた。

んで劇場で念願の初キューブリック遺作「アイズワイズシャット」を見る。

のちのちビデオでワーナーから「非情の罠」「現金に体を張れ」をレンタル。ちょうどタランティーノ「レザボアドック」の頃。タランティーノが影響受けた作品と取り上げれた時見た。

のち
30代入ってからDVD発売された「突撃」を見てやはりびっくり。

長いから敬遠していた「バリーリンドン」見て、撮影に特にびっくり。
 
ようやく発売となった処女作「恐怖と欲望」が戦争寓話だった事にもびっくり。

そんなこんなキューブリックと私だが。

私が今までで一番見返した作品が本作「フルメタルジャケット」だ。  

具体的に言うと「フルメタルジャケット」の前半戦ばかり見返していた。
あの人間狂気学校兵舎の部分だ。ビデオでも何度も借りたし、DVDで見返すときも微笑みクンが無残死するあの便器を見終えるといつも停止ボタンを押した。

なんで本作が初キューブリックの戦争映画ではない。処女作でいきなり表現。「突撃」はどちらかというと直球反戦映画。「バリーリンドン」もイギリス式戦争栄華映画だ。

今回久々に見直してみよう全編、自分の好きな作品改めてシリーズ。ワーナーキューブリックボックスから本作見直してみた。


まず凄まじいなあこの映画。
 いつものほぼ脳内再生出来る前半。
それから後半戦のジョーカー戦地へ行く部分を通して見て、新たな発見とキューブリックの描くベトナム戦争というかキューブリックの戦争がよく伝わってきた。

物語がどうこうではなく、やはり前半戦の異様すぎる
「いじめ」たる人間粉末兵器たる汚くののしられ、兵役につく人間の馬鹿らしさ。
まさしく
耳もとでがなられる海兵隊体験を観客にさせてしまう
映像マジックに
容赦ない感覚麻痺とひいてはなくならい
いじめたる成長のプロセスをみさせられてきたように思えてきた。

つまりハートマンは、
言葉の強弱
品行
汚い卑猥
声にしたい美辞麗句、
校則、道路交通法、法律、社則、刑法
友達
面倒みる後輩先輩
スポーツ出来る出来ない
営業成績良い悪い先輩後輩
規律守る役人破る発言隠す役人
舌が1枚2枚3枚 
仕事が出来る、遅くて粗末
まわされるとばされる
試験受ける受けない辞める辞めない
面倒くさい
等々

と飛躍したが。
前半部分のドラマの突出性って実は極めて我々の一歩ひいたらすぐある世界に近いのかもと思ったりもした。そういう場面を思い返す身近などやされている感じを思いだしやすいのだ。
そんな中唖然としてたら
殴られ
半笑いなら首を自ら締めに生き、苦しみ、顔が変わり顔が赤くなるあの男の存在に自分を重ね、人を重ね、過去を重ねて見てきていたのかもしれない。救われたかったのかもしれない。

後半戦局場面はいささか感じれないヒューマンなドラマ皆無な戦闘。落ちのシンプルさにしか今までそこしか目がいかなかった。ミッキーの歌とか、、。

だが見返してわかったことは、ジョーカーたるマシューモデェインに迫り来るふたつの死を魅せている事に気づいた。

ひとつはほほえみ男の死
ふたつはあの狙撃手(性別女性)の死だ。

いや、その前にも沢山死の場面はあることはある。

ハートマンの死(ある意味カタルシスたる気持ち良さがある所もいなめない)

ベトナム人の死体

戦局の死(狙撃手に撃たれる2人兵士)

同窓生の死(腕の中開眼死する)

それはあくまでもベトナムの死を飾るわけだが、あまりにも転げ回る死に見ている俺も感覚麻痺でなんとも思えなくなってるのかもとすら思えてくる。

そんかヒューマンヒリヒリいじめドラマが強烈シンパシーに粘着していただけに前半後半全く違うとか
前半高評価とか
の感想は私もよくわかった。

今回見直すと2つのジョーカーの死を見て、キューブリックが戦争を魅せてくれた生々しさは、反戦というより
戦局に行く人間の成立と現場
海軍とベトナム戦争
キューブリックのベトナム戦争
とかいろいろ定義できるのかもしれないが、。
私にはジョーカーに迫る死は、誠にいきなり迫り
ともに

助けられている点

にも注目したい。

あとふたつの関係性を表現しているのかも。
助ける助けられる
平和生まれながら殺戮
矛盾内包人間
ピースマークとボーントゥキルのサイン
人間らしい心
兵器たる非情な心、残虐性

視覚的キューブリックカットも満載にある意味楽しめた。
横移動の快楽的描写だ。

「♪べべべぇ~」

と唸りがなるスキャット「サーフィンバード。
あの曲がかかるあのカメラクルーの表現を見ればキューブリックカットの素晴らしい視覚的構図の何をかいわんや

いやこれが戦争、キューブリックの戦争がわかる。
右から左にカメラクルーが移動する。
罵倒する兵士
戦車が砲撃
爆発する大きな遠くの建物
負傷者が横切るタンカ
全てがキューブリックカットだ。「突撃」でも右から左に滑るカメラワークで塹壕に倒れゆく兵士の横移動あり。

人間が一番バカにされていると感じる耳元で喋られるリーアーメイの顔面と罵詈雑言、わいせつ語と兵士側頭部、耳のカットの素晴らしさ。

それが10代でスカウトされカメラマン出身だったキューブリックカットだ。

鑑賞後映像特典の「キューブリックの善と悪の境」を見た。やはりびっくりするほど指摘あるのが、スタンリーキューブリックという監督の監督ぶり、キューブリックの人間性をみなコメントする。異質なのだ。

30回テイク当たり前
辛抱強いを通り超す
文句言う俳優に

「だったらうまくやって見ろ!」

の言葉
こうしろとは言わず、もう一度
もっと大きく、もっと大げさとか
撮影四カ月予定から1年過ぎる度の越しよう(ちなみに製作費約1700万ドル、興行収入約3000万ドル)
完璧主義(何度もリテイクさせるため)、演技を見通す厳しい目
視覚的優先、画面のハエすら気にする

台詞を現場で言うさえ出来れば良い

とほほえみデブことヴィンセントドノフリオは言う。つまり俳優の演技プランとか考えてきたこうしようあーしようを全てキューブリックが「よい」というまでやり続けなければならないのだ。この悲劇は次作トムクルーズもと夫婦に起こるわけだが、。

鬼軍のリーアーメイは実際の海軍歴ありの元軍人。本作あと俳優に転身出来た筋金入りの軍人俳優。
本作では、ドーナツ発見のがなりを30回はやったとのこと。

リハーサルはみな声を小さめにしたとの事だが、結局何度もやるわけだからトムクルーズものち次作で気が狂うわけだ。

反復させる演出
溝口健二、黒澤明もしかりの演出法だ。

リーアーメイが披露したキューブリックエピソードで一番キューブリックの人間性が出ている映画天皇、映画将軍たるエピは、
リーとキューブリックがドライブしていた。キューブリックは、ロケ地を探しているらしくここにカメラを置きたいとか話ながらどうするかベラベラ喋っていた。ふとくぼ地の大きな水たまりにハマッたか車転倒したかで自動車事故。リーアーメイびっくり。
次にキューブリックは、「だからさあ、あそこに、、」と止めどなくロケ地の話を転倒した車内でも喋り、あげくに

「はやくリー!出てこいよ、あそこが~どうのこうの」

と転倒した車から降りても話を続けたとのこと。事故にあった重大性より映画のロケ地が決まらない、悩んでいることの方が重要なのだ。
あーキューブリックキューブリック!
さすがキューブリックキューブリック。

またラストもカットした点。ラストはあの少女の首を切って、どうだやったぞ!というシーンがあった。そのためナタを持っていた兵士がいた。ラスト台詞をよくきくとそのカットのなごりか銃発砲後「強烈だなあ、、」と声だけがかぶさる。首チョンパ撮影はされていたようだ。カットするのは当然だろう。

また本作は、海軍を正確に描いた映画として認められているという。それほど前半部の信憑性は高い。想像じゃない実像がある。

世の中には戦争映画がいろいろあるわけだが、。
いまや2019年からかんがみるに出尽くした状態。

戦局の詳細なドラマを見たいならアメリカテレビの古くは「コンバット」からスピルバーグの毎話「プライベートライアン」級戦局映像ドラマ「バンドオブブラザーズ」や「ザパシフィック」を見ればわかる。

コッポラが自己破産して撮る狂気現場「地獄の黙示録」アポカリプスナウの再現性と繋がらないラスト

オリバー・ストーンの悪たるベトナム戦争「プラトーン」
フルメタルジャケットのもはや拡大再生産映像とも揶揄ありリドリースコットの「ブラックフォークダウン」

ドキュメント性に富む逸話実話「ハンバーガーヒル」や「キリングフィールド」

異国戦争ナウの狂った無為徒労兵士を描く「ジャーヘッド」

爆弾撤去。ただやるだけ。「ハートロッカー」でオスカーを取るキャサリンビグロー。あいつを突き止め殺しに行くビグロー監督の「ゼロダークサーティー」

今も作ら続ける戦争映画だが、今回見直してキューブリックのフルメタルジャケットは、やはり面白い映画を通り越している。

異常とすら思える戦争映画。

いや
おまえらが勘違いしてるんだろっ!
コラッ!
ドゥーユーアンダスタンド?
ボウシャェット!アイキャントヒアユー?

とリーアーメイに怒られ、

ビル隙間から小さな少女が標準あわせ
少しの動きも逃さず
命を狙い壁や抜け穴の向こうに
俺を見て狙っているかのような気にさせる。

見終えた後そんな想像と言葉があふれ出る。怖い思いにさせる影響力ある映画。

キューブリックの中でもわたしのなかでは最高傑作でわないのかなあとやっぱり思わせる再見だった。

追伸
本作のように本当に好きな作品をレビューしたいわけだが、ちゃんと今から全部それら一群(約100本くらい)を見て、感じたことを言葉をにするのは時間かかるなあ~。ツィッター言語程度ならすぐ出来る自負はある。が、もうそんなんじゃ収まらない、おさめたくない。なんで、時間かかりますが、時々こういうレビューしていければと思います。誰だかわかりませんが、読んで頂いるだけで陳謝文、テニオハ間違い文読んで頂きありがとうございます。いきなり真面目に記す
キューブリック作品、スコセッシ作品、リドスコ作品等々いっぱいあるなあ。レビューし直したいのも山とある。
どーもキューブ

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