タカシサトウ

嘆きの天使のタカシサトウのネタバレレビュー・内容・結末

嘆きの天使(1930年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

[大スターと陰の主役]

 当然、主役はマレーネ・ディートリヒのローラ。歌も曲線美も我々を魅了する。“また恋したの…”という彼女の歌は忘れられない。ジョセフ・フォン・スタンバーグによって見出されたディートリヒは、この映画から世界的な大スターとなっていく。
  
 しかし、陰の主役のエミール・ヤニングスのラート教授。入り浸る生徒を注意する筈が、自分もローラに入れ込んでしまい、抜けられなくなる。

 教授からピエロになってしまい、座長に馬鹿にされ、ローラには浮気され、その屈辱に耐えかねて、元の教壇で息絶えるという凄まじい人生。

 落ちぶれたラート教授が、自分の場所で息絶えるラストで、私には彼がやっと休めるのだと思えてほっとさえした。
 
 燦然と輝くマレーネ・ディートリヒだけでなく、物語もなかなかのものだった。(2018.12.29)