ひろ

ゴーストライターのひろのレビュー・感想・評価

ゴーストライター(2010年製作の映画)
3.5
ロバート・ハリスの小説「ゴーストライター」を原作とし、ロマン・ポランスキーが監督し、ハリス自身とポランスキーが脚色し映画化した2010年のフランス・ドイツ・イギリス映画

政治を扱ったフィクション小説で知られる作家ロバート・ハリスの原作を、ロマン・ポランスキー監督が映画化しているというから興味を惹かれた。

元英国首相の自伝小説を任されたゴーストライター。影の存在であるゴーストライターが陰謀に巻き込まれて行くという、なんとも鬱々としたドラマは、これぞポランスキーという監督らしさを感じた。謎に迫るに連れて高まる緊迫感。真相を暴いた末の衝撃のクライマックス。この盛り上げ方は監督の力量を感じる。ベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)を受賞したのも納得だ。

ゴーストライター役のユアン・マクレガー。様々な役を経験し、最近では余裕すら感じさせる貫禄が出てきた。作品にも恵まれているし、安定感は抜群の俳優だろう。

対象的に、元英国首相を演じたピアース・ブロスナンはジェームズ・ボンドとしての評価が高かっただけに、未だにそのイメージを払拭できていない印象。

首相の妻を演じたオリヴィア・ウィリアムズは、物憂げな表情がセクシーで記憶に残る演技だった。

こういった陰謀を扱った作品は、謎を追う過程が面白い。主人公の立ち位置が中途半端でどっち付かずなのも面白い。自分で推理するというよりは、主人公の謎解きを黙って見ているといった感じだが、それはそれで楽しめるものだ。監督がポランスキーだけに一筋縄ではいかないから、緊張感を持って、画面に噛り付いて鑑賞してもらいたい。
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