田島史也

ロスト・チルドレンの田島史也のレビュー・感想・評価

ロスト・チルドレン(1995年製作の映画)
3.0
とりあえず、怪力男ワンがずっと弟を探し、追いかけられ、逃げる映画。ストーリーも撮影手法も、どれをとってもカオスでクレイジーな作品。ただ、そういう便利な言葉で形容してしまうのは勿体ない作品。

ものが連鎖的に崩れ、秩序が崩壊していくという一定のモードを保ちつつ、物語は混沌の渦へ巻き込まれていく。説明のつかない展開が繰り返されるゆえ、不思議な雰囲気を観客に与えるが、主軸となるストーリーラインは維持されるから、内容は理解される。

相変わらずの奇妙な世界観と、独特の色遣い、薄暗く霧のかかった風景、斜めの構図。そして前作デリカテッセンから大きくキャラ変?を果たしたドミニク・ピノン。近未来なのにどこかレトロチックな世界観。見所はこんなところだろうか。

子供たちが大活躍。前作でも2人の子供が大人を出し抜く様が爽快に描かれたが、今回はその子供にフォーカスが当てられた。子供が活躍し、大人が滑稽に映る。ジャン=ピエール・ジュネには世界がこう見えているのだな、と、驚かされる。どうしたらこんな世界を思いつくのか、どうしてこんなセットが作り出され、こんなストーリーが完成するのか。薬でもやっててくれないと困る。

色味とか空気感とか、チョコレートみたいな映画。スイーツって感じ。面白かった、というより、美味しかったと言う方がしっくりきてしまう。


映像0.7,音声0.6,ストーリー0.5,俳優0.7,その他0.5
田島史也

田島史也