アタフ

トト・ザ・ヒーローのアタフのレビュー・感想・評価

トト・ザ・ヒーロー(1991年製作の映画)
3.4
ジャコ・ヴァン・ドルマルという監督の映画は"子供の視点からの家族"というものが描かれることが多い。

『ミスター・ノーバディ』では離婚した両親のどちらについていくか。

『神様メール』では神である父親への反抗。

そしてこの『トト・ザ・ヒーロー』では、
赤ちゃんの時病院で両親に取り違えられてしまったために不幸になってしまったということ。

この映画は取り違えられてしまったため不幸になったと思っている老人トトが取り違えられた相手のアルフレッドを殺しに行く話と、トトの幼少期からの人生が交互に展開される。

トトの過去の記憶は不幸と憎しみの記憶だ。
小さい頃はダウン症の弟と同じくいじめられっ子で父親は事故でいなくなり、母親は父を探すために家を出る。頼りになるのは姉のアリスのみ、トトは姉が大好きだった。だがその姉もいじめっ子のアルフレッドと仲良くなり始める始末、怒りに震えるトト、殺してやる!殺してやる!アルフレッドへの憎しみが増してゆく。

父親がピアノを演奏し歌い姉がトランペットを演奏する「Charles Trenet」という曲がこの映画では何度も流れる、明るく楽しい記憶としてとても印象的。この曲が流れるシーンはなんだかノスタルジックでとても好きなシーン。こんな感じの音楽の使い方は『ミスター・ノーバディ』でもありましたね。

『トト・ザ・ヒーロー』という題名ですが、最後の最後でトトはヒーローになる。オシャレな雰囲気を持ちつつも大きな悲しみを持つ映画でした。僕はなかなかの名作だと思います。
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