このレビューはネタバレを含みます
原作は1986年度コルデコット賞受賞している絵本『急行「北極号」』。
作者はC・V・オールズバーグ、
訳は村上春樹。
原作の絵本がお気に入りでつい期待値が上がってしまった…!
結果、うーん。。
ちょっとしっくりこないような。
クリスマス前にほのぼのした気分になりたかったのだけれど、、
まず、なぜこれほどリアルなアニメーション?立体的でまるでファイナル・ファンタジーのキャラみたいだけど、もうちょい実写っぽい。子ども向けなら絵柄もキャラクターももう少し魅力的にしてほしかったなぁ。。大人向けにしては物語が単純でイマイチ引き込まれない。。
主人公の男の子以外の子どもは創作キャラなのだけれど、正直あまり魅力を感じず。。
良い子でいないとサンタさんは来ないの?
信じていなければサンタさんは来ないの?
10歳くらいってちょうどサンタクロースの存在に懐疑的になる頃。
そんなお年頃の少年のお話。
絵本の方は終始静かでピーンと張り詰めた寒さの中で
少年の心の在りようがじわ〜っと滲み出てくるような展開なのだけれど、、
今作はボリウッドか⁈
”インディー・ジョーンズ”か⁈
はたまたディズニーランドか⁉︎
といった賑やかさ。アクション多め。
それはそれで楽しいのだけれど、寄り道ばかりでストレートに伝わって来ない。。
冒険物語になっちゃった!
元々短いお話を引き伸ばしすぎたのでは…。
それでもって、条件付きでないとプレゼントもらえないって何だか…。モニターで小人が子ども達の様子をチェックしていたり。
プレゼントの為に皆が良い子になるというのもなぁ…。夢があるような、ないような。
確かにうちの子達には「良い子にしてたら…」って散々言ってた気もするけど笑、原作にはそんな描写ないんだなぁ。。
自分の家に小さい子がいなくなって大人の世界に近い所に身を置くようになったから、私の価値観が変わってしまったのかな。
風景はとても綺麗。
雪景色に汽車が映える。
トム・ハンクスが出てなかったら
もっと点数下がっていたかも。
たまたま一緒に観ていた大学生の息子もこの絵本は好きだったから「ん?これは…⁈」と口をあんぐり。絵本が原作というより原案、と思うべきか。
しかし、トム・ハンクスが製作総指揮でそこにC・V・オールズバーグの名前も連なっている。。
そしてロバート・ゼメキスといえば、バック・トゥ・ザ・フューチャーやフォレスト・ガンプ、ザ・ウォークなど
話題作、ガシガシ撮る監督。
フルCGアニメーション。
実際の俳優の動きや表情をモーションキャプチャによって記録、そのデータから登場人物を作り上げるという実験的試みの作品。
でも、最後にじわっとメッセージは伝わって来る。
背景の幻想的な雰囲気、ポーラーエクスプレスの佇まい、チケットのエピソードは心にじんときて、良かった。
詰まる所、原作のイメージが強すぎたのかも。。何も知らなかったらもっと楽しめたのかもしれないなぁ…。