あーさん

PERFECT DAYSのあーさんのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
-
観てからしばらく経ってしまったのと、あろう事か!上映時間を間違えて途中から観た為にレビューをし損なっていた💦


渋谷のちょっと変わったトイレ清掃の仕事、行きつけの居酒屋、自転車で通う銭湯、週末のお楽しみのスナック、古本屋でゲットした本を安アパートの畳の部屋で読む…そんな繰り返しの平山(役所広司)の毎日。
ただそれだけなのだが1日として同じ日はなく、人間関係も少ないながら色々と小さな変化があり、彼の日々のスパイスになっている。

彼のバックボーンははっきりと語られないが、どうやらそれなりの仕事をしていたが訳あってドロップアウトしたらしい事がわかる。音楽や読む本のチョイスから、教養がある人物であることも。

淡々とした中にも、彼の覚悟、悔恨、諦念、、そしてささやかな日々を楽しもうとする前向きで健全な精神が伺い知れて、観ている者の心を掴む。

音楽の使い方が秀逸。

ここまで極端ではなくても、自分は道を外れてしまって他の人と違うルートを歩いていると思う事がある。でも、振り切れてしまうと案外心地良いものだな、と思う。
人と比べたり競ったりすることに疲れたり、距離を置きたくなることは誰にでもある。
木漏れ日を味わったり、昔懐かしい歌をスナックの仲間と楽しんだり、銭湯でたっぷりの湯に頭から浸かったり、、平山にとっての小さな喜びを自分も追体験できるのはとても幸せだった。

"よかった探しすれば?"
私が人生で最も凹んでいた頃に、手紙の中で妹がくれた言葉。
"1日に1つでいいから、何かできたらそれで十分や🙆上手くいかなかったことより良かったことを探せば、結構あるよ"

私が妹の言葉に救われたように、この映画に救われる人がいると良いな。


目線を変えれば、世界は小さな喜びに満ちている。何事もやみくもに沢山じゃなくて、少しを深く味わうこと。決して負け惜しみでなく、パンドラの箱の中の希望を探すように。。
そして、逆境の中において知性と教養がどれだけ人を救ってくれるのかを改めて感じた。
無性に本を読みたくなる。
"映画も良いけど、本を読みなさい"
亡き父の言葉が思い起こされる。

姪っ子とのエピソード、スナックのママの元旦那とのエピソードが好きだ。


役所広司は、本当に素晴らしい俳優だと思う。ヴィム・ヴェンダース監督が惚れ込むのも無理はない。しかし、監督は本当にドイツ人なんだろうか。。目の付け所が日本人より日本人⁈

パンフレットを読み込んで、幸田文の"木"も読んで、、、なんて思っていたけど、永遠に書けそうにないので、とりあえずこの辺りで笑
でも、観て終わりではなくずっと心に抱えていく作品なんだろうな。

心に染みる大人の映画だった。。


パンフレット中の田中泯さんの字が、とても味があって素敵💓
あーさん

あーさん