あーさん

シネマ歌舞伎 歌舞伎NEXT 阿弖流為〈アテルイ〉のあーさんのネタバレレビュー・内容・結末

-

このレビューはネタバレを含みます

シネマ歌舞伎2023 第11弾


"阿弖流為"の話は知らなかったけれど、最近ハマりつつある歴史物ということで、期待値大!逸る気持ちで劇場に向かう。

が、始まる前から体調が今ひとつだったのもあり、休憩10分を挟みながらの185分は少々長く感じてしまった(特に最初の1時間はあまり入り込めず…)。
なのだが、後半に入ってからの畳み掛けるような展開に体調の悪さはどこへやら、ググッとハマり込んだ!!

蝦夷の読みが"えぞ"だけと思っていて、"えみし"と読むとは知らなかった。
ざっくりとだけれど、えぞ は北海道、えみし は東国(関東、東北地方)なのかな?
西の人間なので、その辺りには疎い。。

奈良時代、大和朝廷が国家統一の為に蝦夷征伐を当時勢いのあった坂上田村麻呂(征夷大将軍)に命じる。
阿弖流為(アテルイ)は一族の神に背き恋人と共に追放されていたが、許しを得て舞い戻ってきた蝦夷の長。
その二人の戦いに、朝廷内の陰謀、果ては荒覇吐(あらはばき)の神までもが介入?、三つ巴ならぬ四つ巴の戦いが繰り広げられる。

何が正義で何が悪なのか?

国を一つにまとめることが世の人々の為だとすれば、一体どれだけの血が流れれば良いのか?果てしのない戦いに、勝者はいるのか?

敵同士であるはずの阿弖流為と坂上田村麻呂の自然発生的な友情、蝦夷でありながら朝廷に寝返ったりはたまた裏切ったりしながら何としても生き延びようとする蛮甲(ばんこう)の狡猾だが人間らしい様、阿弖流為の恋人 鈴鹿の平和を願う美しい心に感情を揺さぶられる。

阿弖流為役の市川染五郎(現・松本幸四郎)のほぼ出ずっぱりハードな立ち回り・長台詞には感服したし、明るく正直でまっすぐな坂上田村麻呂役の中村勘九郎は間違いなく、描かれ方としては阿弖流為と同等の主役と言っても良いほど。
立烏帽子/鈴鹿の二役 中村七之助がまたしても迫真の演技、鬼気迫る神と心優しき鈴鹿を見事に演じ分けていた。
他にも藤原稀継役の坂東彌十郎、蛮甲役の片岡亀蔵、御霊御前役の市村萬次郎の安定の演技。最近どんどん存在感を増している鶴松さんや新悟さん、菊五郎劇団の皆さんも活躍♪

これは生の舞台で観ていたら、ものすごいことになっていただろうな。。(アドレナリン大放出!!)


歌舞伎役者×中島かずき(作)・劇団☆新感線 いのうえひでのり(演出)


見応え十分、そして熱量がハンパなかった❗️




2015年7月 新橋演舞場にて上演
あーさん

あーさん