アタフ

マルホランド・ドライブのアタフのレビュー・感想・評価

マルホランド・ドライブ(2001年製作の映画)
5.0
人生で最も好きな映画の一つの「マルホランド・ドライブ」についてレビューしたいと思います。

最初にこの映画を見たのは大学1年生のとき、自分は映画にハマりかけていた時期なのですが、この映画を見てとても衝撃を受けたのを覚えています。

映画を2時間半見終わっても何が何だかさっぱりわからないのです、全体の3分の2までは何とか理解できるのですが、そこから先があまりに難解すぎて見終わったときは「???…何だったんだこの映画は…」みたいな感想でした。
ただわからないのと同時に「なにかわからないけど、とんでもない映画を見てしまった…」という感覚に襲われ、何度か見直したり、この映画について調べていくにあたって意味の分からなかったシーン1つ1つに意味があることが分かり、
「映画っておもしろい!!」と心底思いました、これが自分が映画オタクになったきっかけだったと思います。

映画の謎を解いていくと、この物語がとても悲しい話だということが分かってきます。

女優を目指してハリウッドで奮闘するも全く売れず、恋人も映画監督に奪われてしまう…
仕事も恋も人生もすべてに敗北していった女優が、こうでありたかった自分を夢見た映像が、この映画の大部分に当たるわけです。

人間誰もが理想の自分を夢見ると思いますが、それはほとんどの人がかなわないモノです。
自分にとってもこの映画は他人事ではないような気がしてしょうがありません、僕も理想の自分を夢見たりもしますが、やっぱりそれは夢でしかないのです。

この映画はとても難解で、悲しくて、切なく、そして美しい映画です。万人向けする作品では決してないのですが、僕はこの映画が心の底から好きです。
デビット・リンチから映画の面白さと、人生はすべてまやかしであるということを教えられました。
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