カツマ

マルホランド・ドライブのカツマのレビュー・感想・評価

マルホランド・ドライブ(2001年製作の映画)
4.0
エンドロールで『しまった、こういう映画か』と思わず舌打ちしそうになった。確実にヒントを拾いきれていなかったから。
正にデヴィッドリンチのイメージそのもの。現実と虚構の境界線を巧みな構成力でボカしたトラップサスペンス。鑑賞者に考察させることまでを含めて作られており、わざわざ分かりにくい構成にしてあるあたりが嫌らしい。これが正解だろうというのはあるけれど、リンチの想像を越える解答を提示したとしても誰も文句は言えない作品だ。

ハリウッドの近くの山道マルホランドドライブにて車同士の衝突事故が発生。乗っていた女性は何とか生き延び、山を降りた先にあるアパートへと忍び込んだ。
シーンは変わり、女優を目指してハリウッドにやってきたベティは叔母のツテでアパートに赴くも、そこで忍び込んでいた事故の被害者の女性と鉢合わせする。その女性は自らをリタと名乗るが、何と彼女の記憶は事故のショックで失われていた!リタの記憶の所在を突き止めることにしたベティは、次第に暗い影に飲み込まれるようにリタの秘密へと迫っていく。

あらすじを書いてみたけれど、リンチの片棒を担いでいるようで少し罪悪感を感じてしまう。前半と後半でストーリーが分かれており、2つのストーリーの共通点をどれだけ拾えるかが物語の鍵だ。恐らく2回目を見れば完全にスッキリするだろうが、このままモヤモヤしていたいものだ。そもそもサスペンスは最後に答え合わせをするのが定石になっているが、それは必須ではない。たまには答えをこちらに丸投げするサスペンスがあってもいい。
若かりしナオミワッツの演技は後半に行くにつれて鬼気迫るものに変わる。前半と後半の彼女の演じ分けも大きな見どころの一つだろう。
カツマ

カツマ