「敵護衛船団を撃破せよ。」
ナチスドイツ海軍乗組員達の激闘を描いた、潜水艦映画の金字塔。
神出鬼没の潜航艇から放つ魚雷でもって、連合国側に多大な被害と恐怖をもたらした海の狼ことUボート。「イミテーションゲーム」や「エニグマ」で目の敵にされたこの謎の船の実態を、西ドイツ出身のウォルフガング・ペーターゼン監督がリアルに描いたのが今作。まだ若かった彼の最初のキャリアといっていいでしょう。
釣り番組や冒険番組でおなじみのBGMは、気持ち高ぶること間違い無し。そして駆逐艦が恐い、爆雷を落とされ制御不能になれば密室でゲームオーバー不可避。実際に事故死や酸欠、溺死などで戦死するという憂き目が待っています。ただでさえ狭くて臭って汚らしい艦内だからストレスもMAX。
撃たれて船体に穴が空いた時、やばすぎぃぃ!
序盤に描写されるような温かみのあるパーティー&華々しい戦果と対比されるのは、作戦行動中の静けさ、汚らしさと人間臭さ。ジョーク混じりに作業する乗組員、ユルゲン・プロホノフ演ずる艦長の気高さが乗組員たちの支え。
戦争を経験した国に生まれたなら、搭乗員たちの悲哀や絶望に共感してしまいそうになる。
悲痛なエンディングに、同じドイツ軍を描いた「スターリングラード」(ドイツ視点)のような地獄を感じずにはいられない。