「俺は嫌われ者だが、地球上で最高の女性と結婚。生涯で一番の幸せだった」
サラッと言いやがってあの爺さん。
渋かったなぁ。
良い映画を観た。
妻に先立たれた元軍人で元フォード組立工の頑固爺さんウォルトと、隣家に越してきたモン族一家との交流。
そのうちに頑固爺さんの心もほぐれて、なんてハートウォーミングな映画を想像してました…。まぁそういう要素もあるけど。
頑固が故に息子家族から疎まれる爺さん。
イエローと言われ(まぁウォルトも言ってたけど)、好奇の目で見られるアジア人。
通ずるところがあったんだろうな。
モン族のスーがね、良いよね。ああやって距離を縮められる人はすごいと思う。弟タオのこともしっかり見てるし。
ウォルト爺さんもタオ、スーと一度距離が縮まってしまえば、まるで上手く接することができなかった自分の息子たちへの免罪符かのように関係を深めていく。
ウォルト爺さんは口も悪いし頑固。でもスーやタオ一家との関わり、神父との交流など、あぁ面白いなぁって観てたんだけど。
まぁ不穏な空気は最初からあった。だから後半の展開は胸が痛かったな。
いろいろ準備するウォルト見て決意はわかってしまった。「ああするしかなかったかな?」ってちょっと思ったけど、ああするしかなかったよな。わかる。
エンディングの歌も含め最後まですごく良い映画だった。
イタリア系床屋野郎のマーティンと「大人の男の会話」をタオに教えるシーンが大好き。
ウォルトの家にタオ族のみんながずっと食べ物を運んでくるのも好き。
犬もかわいい。スーはホントに良い子。
でも一番はやっぱり「1972年式グラン・トリノ」が死ぬほどかっこいい車だっていうところかな。あれはウォルトそのものだった。だからこそラストは泣けた。
ウォルトとタオは本当に友達だったんだな。