ひろ

エリックを探してのひろのレビュー・感想・評価

エリックを探して(2009年製作の映画)
3.8
元サッカー選手のエリック・カントナが製作総指揮を務め、イギリスの至宝ケン・ローチが監督を務めた2009年のコメディ・ドラマ映画

常に社会問題や労働者階級の人々を描き、イギリス国民に最も愛される映画監督であるケン・ローチ。意外にもその長いキャリアで初となるコメディ。ケン・ローチがコメディっていうのに驚いたが、その理由はいたって単純なものだった。イギリス人である彼は、当たり前のようにサッカーが大好きだからである。

そんなケン・ローチにコメディを描かせたのは、製作総指揮を務め、本人役で出演しているエリック・カントナ。サッカー好きなら知らない人はいない大スター。日本で“キング”と言ったらカズだけど、ヨーロッパで“キング”と言ったらカントナのこと。

元フランス代表にして、マンチェスター・ユナイテッド史上最高の選手。ベッカムもロナウドもカントナの背番号7番を継いだスター選手だが、マンチェファンにはカントナが永遠の7番なのだ。個人的には昔からリヴァプールサポーターなので関係ないけどね。

それにしても、カントナ以外は無名に近い俳優ばかりなのに、さすがはケン・ローチ監督。ダメな中年男が再生していく感動的な物語に仕上げている。カントナが相談相手に出てくるのは笑えるし、カントナの現役時代の映像も出てくるから楽しい。後半の盛り上がり方はよかった。“カントナ作戦”面白すぎ。

こういう映画を観ると常々感じるけど、イギリス人にとってサッカーって人生の一部なんだよね。サッカー映画もたくさんあるし、日常にサッカーが溢れている。日本も熱狂的なサポーターはいるけど、国がこういう風にならない限り、W杯優勝なんか無理だろうな。
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