広島カップ

エクソシスト/ディレクターズ・カット版の広島カップのレビュー・感想・評価

4.4
公開当時、本作の怖さは衝撃性満点の悪魔に取り憑かれた少女の様子、つまり首が180°回ったり、体操選手のように裏向き四つ這いで階段降りたり、青汁状嘔吐物を吐いたりするフリードキンが作り上げたパワフルな彼女の特異なフィジカルコンディション辺りから主に来ていると感じていました。

しかし久しぶりに観るとそれよりも何よりも音が怖いと感じます。
勿論インパクトの強いマイク・オールドフィールドによるテーマ曲もそうですが、環境音の使い方が唸ります。オープニングからのイラクの遺跡発掘現場周辺の喧騒音など、ドキュメンタリーかと思う環境音が怖さを増強させています。作り上げたオドロオドロしい音楽よりも現実性を強調してくる中に悪魔の存在を意識させる上手いやり方。
作り物に現実感覚を与えているのが音。

こんな事に目を向けてくれたのがついこの間観た『ようこそ映画音響の世界へ』(2019)で、本作の音響はクリス・ニューマン。
彼とフリードキンは『フレンチ・コネクション』(1971)からの続投コンビで、確かにフレンチ...でもニューヨークのレアな街の音が良く伝わって来ていました。
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