未島夏

新幹線大爆破の未島夏のレビュー・感想・評価

新幹線大爆破(1975年製作の映画)
3.7
ひかり109号を操縦する運転手の掌には遠く及ばないだろうが、観る側としても手に汗握る大変スリリングな作品で、41年前の映画なんて先入観は早々に吹き飛ぶ。

犯人グループの犯行動機には絶望的な哀愁が漂い確かに腑には落ちる。
しかしどうも人間ドラマの域には達しておらず、もう少し掘り下げた台詞があっても良かった様に感じる。
ただ、最後の致命的に計画が破綻するそのきっかけの描き方は、主人公の心理に目を向けるには十分な理由となっていて良かった。

心理描写に関してもう一つ言及すると、新幹線の乗客各々に明確なキャラクター性や背景を持たせるまではいいとして、それが集団ヒステリーへの作用以外では殆ど活かされていなかった、或いは描写が弱い点がとても惜しい。

タイトルインの鋭いタイミング等で期待を煽られた分、もっと全体を通して娯楽的センセーショナリズムに徹して振り切って欲しかった。
未島夏

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