LalaーMukuーMerry

ブラッド・ダイヤモンドのLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

ブラッド・ダイヤモンド(2006年製作の映画)
4.3
先進国の人々の豊かな生活と、アフリカの人々の現実とが、資源を通してこんな風に、嫌な感じで繋がっているということに気づかせてくれる、よくできた作品。

・平和な生活を奪われてダイヤモンド採集の奴隷労働者にされ、家族とも生き別れになったシエラレオネの漁師。
・ダイヤ密輸出に手を染める白人男(良く言えばアフリカの現実の中で上手に立ち回り逞しく生きる術を知る男)
・アフリカの現実を伝えようと乗り込んできた、やり手の女性ジャーナリスト、

いわくつきのダイヤモンド原石と、この3人の思惑が絡んで、とてもドラマチックなストーリー展開で見ごたえがあった。デカプリオが最後にみせる人間的な行動には心うたれる。(「タイタニック」のかっこよすぎたデカプリオをちょっと思い出しましたね)

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世界中のダイヤモンドは、採取、加工、生産、流通・販売、価格調整まで!、そのほとんどをデビアス(De Beers)という巨大企業が牛耳っています。ここからして既に異常な感じがする、でもこれが現実。

それよりも、新たにダイヤモンドが採れるとわかった時の産出国で起きる悲劇の方が問題。政府はそこから得られる金で社会を豊かにすることは何もせず、ただ私服を肥やすだけのよう。そんな状態なら反政府組織が現れても当然かもしれない。でもその反政府組織も自分たちの利益だけが目的で、政府と何も変わらない、むしろもっとひどい。平和に暮らしている村を襲って、男たちをダイヤモンド採集の奴隷労働者として調達する。こんなことなら、ダイヤモンドなど取れなければよかったと人々が嘆くのもよくわかる。

こんな現実を知って、それでもダイヤモンドが欲しいですか?と問われているよう。

ダイヤモンドだけじゃない。金、プラチナ、希土類元素などの希少金属。自動車やスマホなどのハイテクを支える資源の多くがアフリカ産。外国に売ってお金を得るために、現地では資源をめぐって似たようなひどい争いが起きている。

それでもスマホが欲しいですか? ダイヤモンドは我慢するけれど、スマホは困るって?
たぶん自分たちを含めて、何かが間違っている。