ろ

マーティのろのレビュー・感想・評価

マーティ(1955年製作の映画)
5.0

「何度も悲しい目に遭えば、涙のプロにもなるってもんだ。」

34歳、独身マーティ。
弟が結婚すれば「あなたはいつ結婚するの?」、土曜日が来れば「家でくすぶってないで出掛けたら?」と皆口々に言う。
女の子にフラれるなんて、惨めな想いはもうたくさんなんだ。
でも僕だって本当は結婚したい。
重い腰を上げ、向かったダンスホール。
そこで彼が出会ったのは・・・。

無口なマーティが饒舌になり、鼻歌を歌いながら身支度をする。
あれほど結婚を勧めていた母親は、そんなマーティの変化に不安を覚える。
昨日うちに来たあの娘は本当にいい子なのだろうか。
長年ずっと住んでいたこの家を売ることになるのではないか。
マーティが結婚すれば、自分は厄介払いされてしまうかもしれない。
息子の幸せを願いつつも、マーティと過ごすこの生活を手放したくないと、心のどこかで望んでいる。

いつも遊んでいる友人だって、マーティを祝福してはくれない。
マーティがいるんだから俺もまだ結婚しなくて大丈夫。
そんな仲間意識を裏切られたような気がしたのだ。
だから「あんな田舎くさい女、やめとけよ」なんて思ってもいないことを口にして、マーティを引き留めようとする。


彼女を恋人にすることも、肉屋を買ってスーパーにする夢も、誰一人応援してくれなかった。
マーティが未来を思い描くと、みんな現実の不満ばかりに気を取られた。
たった一人「あなたの好きなようにするといいわ。大丈夫、あなたならきっとうまくいく。」そう励ましてくれたのは、彼女だった。


「皆 彼女を嫌う。彼女は田舎くさいし、僕は醜い。でも昨夜は楽しかった。きっと今夜もだ。」
ろ