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HANA-BIのshinoのレビュー・感想・評価

HANA-BI(1997年製作の映画)
5.0
北野武監督作品。
なんでこの映画をわたしは今まで見てこなかったんだ…!!!後悔。後悔しかない。簡単なあらすじを書こうかと思ったけれども、自分の語彙力では陳腐なものにしかならなくて消した。とにかく良かったとしか言えない。
北野映画?バイオレンスな映画でしょ?って層にも見てほしいと思う映画です。バイオレンスもほんの少しだけある緩やかな寂しさに覆われた映画です。

この映画に出てくる海って好きなんですよね。寂しさだったり、悲しさだったり、やるせなさだったり、どうしようもなさが出てて。霞んで見える島々だったり、白く光る海の色だったり、灰色の空がそうさせるのかな。劇中での静かで荒々しい海は、鮮やかじゃないのにとても綺麗。そしてその海の描写があってのラストだと思う。
キタノブルーと呼ばれる青い画面の構成と、多くを語らない脚本と、久石譲さんの音楽がとてもマッチしている。全体的寂しさや、やるせなさが漂っているが、その中にも確かな優しさや愛おしさが存在していて、ふとしたとこでクスッと笑ってしまう。でもまとわりつく寂しさは取り除けなくて、自然と涙が出てしまう。彼らは一体、どこに行くのだろうか。

大杉漣さんが、桜を見ているシーンや背中を見せて海を見つめるシーンがとても好きです。表情と空気感で語るとても良いシーンだと思います。
大杉漣さん。とても良い俳優さんでした。安らかにお眠りください。
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