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彼女が消えた浜辺のakrutmのレビュー・感想・評価

彼女が消えた浜辺(2009年製作の映画)
4.5
テヘラン郊外の海辺にバカンスに来ていた男女8名のグループから、一人の女性が突然いなくなってしまったことで、みんなが動揺し、そのうち個人の本音やエゴがむき出しになっていく様子を、息もつかせないくらいの疾走感で描いている。特に、失踪したエリだけが他の仲間たちと初対面であることから、彼女に対する様々な憶測をしていくところに、人間が普遍的に持つ偏見や差別が説得的に表現されていて、さすがアスガー・ファルハディと思わせる。

この映画の次に制作された『別離』や『セールスマン』に出演している俳優の多くが出演しており、他のファルハディ作品を見ている人にとっては、誰がどんな役をしているかを見るという楽しみ方もある。私が最も印象に残ったのは、シャハブ・ホセイニ。『別離』では貧困層の粗雑な男を演じていたが、この映画ではドイツに住んでいる好青年という正反対の役を見事に演じているし、なかなかのイケメンです。
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