Melko

さらば映画の友よ インディアンサマーのMelkoのレビュー・感想・評価

3.6
「なんで映画見るのに屁理屈こねて揉めなきゃいけないんだよ!」

「一緒に食事したり、笑ったりするだけじゃダメなの…?」

「だって仕方ねえだろ?俺の人生の目的は、一年に365本映画を見ること。そいつを20年続けることなんだから」
「監督の名前や映画のタイトルさえ覚えらんないくせに」

人から愛されるように映画見ましょうや。
日本の映画館では黙って見ましょうね。

ここまで主人公のことが好きになれない作品もそうそうないかもなー。
何だこいつ
社会に出たこともない、実家暮らしの19のガキがイキってんじゃねぇぞ。
言われたことを真に受けて突っ走っちゃう人間もいるんだよ
その人の前で「ボク殺してやりたい人がいるんです…」なんて言うんじゃねぇ

惚れた女はヤクザの女
それでも好きだ!と言ってたのに、いざベッドに入って背中の刺青を見つけた瞬間に萎えちゃう
隠してきた自分の素性を赤裸々に話したのに拒絶されたことに切ない表情の女ミナミ
「なぜ抱けなかったんだ…!」って後で悔やんでも無駄
あんなに女を侮辱する行いはないで

先走ってヤクザを恨むしゅうま
ほとばしる恨みをダンさんにぶちまけ、焚き付けたのに、台湾に行って女遊びをしたらケロッと忘れるしゅうま
随分と都合の良い、お花畑の脳みそ
お前が女を愛する気持ちは所詮そんなものか!アホくさ

最後、急に任侠映画みたいになって…え…?
浅間山荘事件の実況をバックに流れる立ち回りはなんか北野映画みたい
作られたのは1979年だけど、設定は1968〜69年らしい。なるほど。
79年ってもっとバブリーなのでは?と思ったから、そう考えれば、作品に漂う古臭さやレトロすぎるBGMチョイス、学生運動やデモのことも納得

誰かがamazonレビューで言ってる、途中までは「アメリカングラフィティ」みたいなのに、終盤は「タクシードライバー」になっちゃうヘンテコ不思議な作品

全体的に音声がハウってて聞き取りにくいのと、画面にちょこちょこノイズ的な汚れが出てるのと、レトロがかりすぎて色味がおかしく見える画はちょっと残念
くさメロレトロな音楽は全体的に良し◎
ダンさん役の川谷拓三は本人の素と役柄が合ってる気がした。セリフを2,3回トチッたまま行ってたけど、あんま気にならなかったかな。
溌剌に若い浅野温子がヤンキー女ミナミ。ほとんど化粧してなさそうだし、顔の造形が全く変わってない。作品自体はレトロだけど、なんならミナミが着てた黒と緑のチェックシャツなんて3周ぐらい回って今の若い子着てそうだし、オシャレに着こなしてて映える。
美人なヒロインというよりは、やはり気の強い近所のネエちゃんって感じだけど。

室田日出男演じるシューマの父が、シューマとダンとの間の何かを察して、自分と親友の話をするシーンが印象的。
親友って、確かにめんどくさい時あるよねぇ。。

クズでどうしようもないのにスカしてるから、見ててイライラし通しだったシューマが、最後ダンさんの跡を継ぐように映画館番長な行いをしてたのは、良かった。
ほんの少しだけ階段登ったな。
Melko

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