ひろ

スカーフェイスのひろのレビュー・感想・評価

スカーフェイス(1983年製作の映画)
4.1
1932年のギャング映画「暗黒街の顔役」をオリバー・ストーンが脚色し、ブライアン・デ・パルマが監督を務めてリメイクした1983年のアメリカ映画

名匠ハワード・ホークス監督による1930年代を代表するギャング映画「暗黒街の顔役」。原題は「Scarface」なので、邦題が違っているだけ。本筋はオリジナルとあまり変わらないが、オリジナルは92分なのに、リメイクは170分もある。オリジナルにないシーンもけっこう追加されている。

まだ監督としては成功してないオリバー・ストーンが脚本だけど、脚本家としては「ミッドナイト・エクスプレス」でオスカーを受賞していた。そして監督がブライアン・デ・パルマ。2人とも作品の暴力描写で賛否が分かれる監督だし、オリジナルの作品も暴力描写が問題になった作品だから、もちろん過激なシーンがある。

青年が麻薬ビジネスで成り上がり破滅していくという、アメリカン・ニューシネマのような作品だけど、成功すればするほど孤独になっていく主人公というのは痛々しくて、なかなか面白い。スラング連発だし、モラルなんてないような作品だし、いかにもブライアン・デ・パルマとオリバー・ストーンらしい作品だ。

トニー・モンタナは、現在でこそアル・パチーノの代表的な役のひとつと評価されているけど、70年代に大ブレイクしたにも関わらず、オスカーを受賞できなかったアル・パチーノは、オスカー狙いの過剰な演技をするという批判を受けていた。名作と言われるこの作品だが、当時は酷評され、アル・パチーノもブライアン・デ・パルマもスランプになり、一時期、映画から離れている。

デビューしたばかりの美しいミシェル・ファイファーも出演しているが、まだ見た目だけの大した役柄ではないので、そんなに語ることもないかな。若いなあってだけ。ギャング映画にしてはエレクトロな音楽だけど、音楽を担当しているのが「ディスコ音楽の父」と呼ばれる、YMOなどにも影響を与えたジョルジオ・モロダー。

当時は酷評された作品だけど、ギャング映画の傑作なのは間違いない。何より、映画好きにはブライアン・デ・パルマとオリバー・ストーンとアル・パチーノの名前が並んでいるだけで、ものすごくテンションが上がってしまう。アル・パチーノってチビなのに迫力があるんだよなあ。やっぱり彼は偉大だ。
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