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裸の島のkのレビュー・感想・評価

裸の島(1960年製作の映画)
5.0
一切のセリフを排除(音と言葉はあります)、ドキュメンタリーを撮っているかのようなリアリティ、これは映画の極致ですね。いやぁ、こんな作品つくってみたい!

夫婦役の殿山泰司、乙羽信子両者の畑仕事の所作、表情一つとってもそこに長年生活しているかのようなリアリティです。それを生み出しているのは間違いなく役者が実際に働いていることでしょう。実際に水を運んで、畑を耕して、全然妥協がないんですよね。素晴らしい。その夫婦と子供二人で孤島において自給自足の生活をしているわけですが、見ている限り江戸時代の生活スタイルと変わらないんです。要は一切電気製品に頼っていないんです。果たしてこれを現代の設定でやる必要はあるのか、というところで徐々に苦悩や不便さが描かれていくんですが、冷酷。夫も決して優しくはないし、妻の日常は過酷(奥さんなのに夫と同じ労働を行い、家事も行う)で、待ち受ける運命も残酷で冷酷、なかなかにシビアな物語なんですよね。まぁでもそれが時代的な日本の姿ということなんでしょうね。

水の撮り方、カット構成が見事です。特に乾いた土に浸透していく水からの砂浜に漂う海の見事な対比! インサートの役割も果たしてます。
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