ベビーパウダー山崎

エレメント・オブ・クライムのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

2.5
ラース・フォン・トリアーは動く紙芝居みたいなものだから、映画的興奮は少ない。失った記憶の迷宮を彷徨う刑事、こちらは端から理解できない(理解させようともしていない)世界をただダラっと眺めているだけ。映像先行ではあるが、そのイメージも過去の優れた作家の画や雰囲気のいいとこ取りに見えてくる。まあ、それでも「映画」を勉強しているだけマシかという気もするが。ミレーの『オフィーリア』な画とか窓を介しての内と外とか。初期から同じ表現を何度も何度も使い回すフォン・トリアー。
これだけ見るとよく一発屋で消えなかったと思う。映像(映画)作家という気取った名前より、己の精神状態(躁鬱、サディストのようでマゾヒスト)を色濃くして、客に嫌がらせのキチガイ映画に表現を傾かせていったのは、おそらく正解。U-NEXT399円。