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男はつらいよのぉゅのレビュー・感想・評価

男はつらいよ(1969年製作の映画)
4.2
2020年 鑑賞
BSテレ東にて、テレビ初放送の4Kでらっくす(4Kデジタル修復版)での一挙放送にて。3/50作目。

生まれも育ちも都の北側です。姓名の儀は悪杭、人呼んでフーテンのにわか野郎と発します。

ドラマ版の最終回にて、ハブに噛まれて亡くなった寅さん。そこからの大クレームがあり、映画へと繋がる。主役の渥美さんは不動。さくらさん他、ドラマ版からキャストを一新(知らなかった... 私はにわかだねぇ)、20年振りに、寅さんが柴又に帰ってきた所から映画版が始まる。

寅さんと(成長した)さくらとのファーストコンタクトがいいっ!さくらに「お兄ちゃん?」って言われた時の、寅さんの(嬉しそうな)顔!チャーミング!私も同様に撃ち抜かれた!だって、さくらが、あんまりにもキレイなんだもの!しつこい?何度も言い過ぎ?(ちなみに寅さんとさくらは腹違いの兄妹ことは知らなかった。にわか故、お許しを)
なんだかんだで、さくらに悪い虫がつかぬよう、周りに群がる男たちを追っ払う寅さん。本当にさくらが大事なんだね!それとも、さくらが...? 考えたくねぇや!しかしまあ、博(前田吟さん)も食い下がりませんねぇ!寅さんものらりくらりと話を変えて... まぁこのやり取りは好きだけど!
博が出て行った時の、さくらの「お兄ちゃんのバカっ!」の後の寅さんの顔。もの凄く悲しい顔してたなぁ... それでもあの口八丁は止まらない!タコ社長との喧嘩も好き!

博とさくらは婚約。絶縁していた博の父が、なんと「ゴジラ(54)」や「七人の侍」等で有名な志村喬さん。喬さんがいいのっ!出てきても、全然話さない、お堅い方なんだが、あのスピーチが、少しずつ感動を誘い、最後には私も泣いてしまったよ!

今作のマドンナは、寅さんの幼馴染で、帝釈天の御前様(笠智衆さん)の娘さん の坪内冬子(光本幸子さん)もお綺麗。運命的な出会いをして、そりゃ勘違いしますよ... 寅さんの「私は死ぬほどお嬢さんに惚れていたんでございます!」に感動する... ぐすんっ...

寅さんの説教が刺さる!「俺みたいになりたいのか?」「甘ったれるな!」って言われたように感じる爆発力がある!その後の涙、涙のラーメンもいいね!

そして、寅さん似のさくらと博の子が誕生し、1作目は幕を閉じる。
この作品は名作だね!この作品以降に名作が誕生しても、1作目の誕生があってこそだし、始まりがなければ誕生しないことになるわけで、それを込みで最高といえる作品だった!

あっ、ロケ地の一つって、●●市じゃーん!もしかしたら寅さんに... って、しまった!まだこの世で、父の酔っ払った勢いで、降臨してなかった!

“わたしの寅さん、ぼくの寅さん”に寄稿された大林宣彦さん(映画作家)。寅さんの心の模様が伝わらない時代になった、と山田監督は憤慨される。この五十年に失った他者の痛む心に共感しながら、寅さんのように真に優しく賢い人になろうと、その寅さんへの切ない恋心を焙り出しつつ山田監督は強く願い続ける。と、おっしゃっていました。
私を寅さんにわかファンになったきっかけが、映画チンピラさんの発信力で、私もそんな発信力を持った人間になって、寅さんの人間味や真の優しさ、賢さを伝えていけるようになりたい!チンピラさんのような丁寧さ、繊細さや熱量はないんですけどね... 頑張ります!

このレビューを挙げた後の一週間後あたりで、大林宣彦さんの訃報を聞いた... 挙げたことが間違いだったのか?なんて偉そうなことは思わないが、「時をかける少女」「青春デンデケデケデケ」(我が街の馴染みの曲も登場してて、印象的)などのたくさんの名作を生み出された。きっとまだ観てない大林作品を鑑賞するっ!ご冥福をお祈りします。

957(20-87)
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