すずき

ザ・チャイルドのすずきのレビュー・感想・評価

ザ・チャイルド(1976年製作の映画)
2.4
妊娠6カ月のイブリンとトムの夫婦は、バカンスで離島を訪れる。
観光客のいない静かな島、と聞いていたが、それにしても静か過ぎる。
子供たちは何人か見かけるが、街には大人の影はなく、不安を感じる2人。
いったいこの島に何が起きたのか。
そんな時、ようやく1人の老人が街に現れる。
だがその瞬間、老人の前に少女が現れ、杖を奪いとって殴り殺してしまう…

子供たちが突如として大人たちに牙を剥くスペイン産カルトホラー。
「鳥」とかのアニマルパニックっぽい。
子供が笑顔で大人を殺す、異常な光景が見られる。

子供がどうしてそうなったのか、明確な理由は映画内では語られない。
だがそのテーマは明白で、冒頭の10分、現実の戦争で犠牲になった子供たちの映像が延々と流される。
映像は、ある子は片足を失い、またある子は飢死する、そんな悲惨な現実をまざまざと見せつける。
大人たちの起こした、戦争という不条理の犠牲になった子供たち、この映画は彼らの復讐を描いた映画だ。
原題の「誰が子供を殺せようか?」というタイトルからも、現実の社会に向けたテーマである事が分かる。

でも、肝心の映画部分が退屈な所多いのよねえ。
前半1時間ぐらい、ストーリー展開的には何も起きず、スローテンポ。
残虐表現もマイルドで、古い映画だから仕方ないとは言え、少し眠気が…。
でも茹だるようなスペインの暑い日差しと、子供以外ゴーストタウンになった田舎町、というイヤ〜な空気感は良かった。