あーや

いぬのあーやのネタバレレビュー・内容・結末

いぬ(1963年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

これでもベルモンドがかっこよくて本当にもう、、キーーーッ!
冒頭の“Il faut choisir.Mourir ... ou mentir? 道はひとつ。死ぬか…または嘘をつくか?”と言う文句に開始早々痺れた。
内容はタイトルの通り警察のイヌ探しなのですが、登場人物が多い事とイヌ探しで各登場人物の憶測と推理が横行しているため人物相関図がかなり複雑。鑑賞しながら「あれは誰でこれは誰…この人はあの人をイヌだと思っているから…」と考えながら観ていました。鑑賞後に解説を読んでやっと整理できました。しかし鑑賞中はその複雑な相関図を完成させるよりもベルモンド(シリアン)の渋い格好良さにすっかり夢中になっておりました。序盤に登場したモーリスの女、テレーズ(実は彼女がイヌ。それに気付いたのはシリアンのみ)を縛って脅迫するベルモンド。彼の目つきと口調は柔らかくも、内容はまどろっこしくなく至って明朗に彼女へ問い続ける。ここだけでも私がぞくぞくするのには充分でした。あとはファビエンヌの心を取り戻そうとするバーでの口説きシーンね。台詞がすべてかっこいい。めろんめろん。あれで落ちない女はいないでしょう。ファビエンヌの今の恋人はミッシェルピコリなのですが、あんなことをベルモンドに言われると元サヤに収まるしか無いですよね。ミッシェルピコリなら裏切っちゃうわ。
しかし「サリニャリ警部と仲の良いのはシリアン、あなたでしょう?あなたがイヌじゃないの?」とモーリスと同じように思い込みながら私たちもスクリーンを見つめます。進んでゆく展開に頭が混乱しつつも遂にバーでシリアンがモーリスへ語る真実に「なるほど!」とようやく納得。その後足を洗うと宣言したシリアンはファビエンヌと田舎に引っ越すことに。ところがそこで待ち受けていた彼の運命は「予定されていた死」でした。背中を撃たれたあとフラフラになりながら最後ファビエンヌに電話をかけるベルモンド。「今夜は行けない」たったこの一言を伝えて受話器は手から離れてしまいます。はぁぁ。死んで欲しくなかった。。幸せに第二の人生を歩んで欲しかった…。てかもうベルモンドの発する台詞がただただ全てかっこよかった。本当にかっこいい奴って生きてる間は死に際まで男らしい格好良さを貫いているのですね…。
今までゴダールの映画でしかちゃんとベルモンドを観ていなかったのですが、いつも彼の何がかっこいいのかさっぱり解りませんでした。しかし彼の本職はハードボイルドな渋めイケメン俳優でメルヴィルとの相性は抜群。この2人が同じ時代に映画界で一緒に仕事をしてくれて本当に良かったなぁとしみじみ思うクリスマスでした。
あーや

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