滝和也

サイボーグ009 超銀河伝説の滝和也のレビュー・感想・評価

サイボーグ009 超銀河伝説(1980年製作の映画)
3.2
9人の戦鬼
銀河を征く!

宇宙の征服者ゾアの
野望を打ち砕くため
宇宙の平和を守るため
サイボーグ戦士は
今!宇宙へ…

「サイボーグ009 超銀河伝説」

石ノ森章太郎先生原作の00ナンバーサイボーグ達の活躍を描くサイボーグ009の映画版第三作です。ベースは79年版を踏襲したデザイン、設定ですが…ストーリーは上記したレベルであり、スター・ウォーズやスター・トレックを意識した内容で…サイボーグ009と言う作品の良さが出ているとは言い難い作品です。

正直、TV79年版の方が面白い…(T_T)脚本が破綻気味で演出ももっさりしていてテンポもイマイチ。メカデザインもどうもイケてない。やはり日本サンライズが手を引き、TV版のスタッフが入れ替わり、東映動画が主導した辺りが原因なのかなと。

当時の東映動画は銀河鉄道999もあり、宇宙モノは得意な筈なのですが、作画レベルで999の方が遥かに上…。何よりもサイボーグ009が宇宙に合ってないのかもしれません。彼らサイボーグの魅力が宇宙船に乗っていては出にくいんですよ。ヤマトやスター・ウォーズでサイボーグである必要はない…。そのサイボーグである必要性を無理矢理演出に組み込んでますが…今ひとつかなと。

極めつけは…009の加速装置演出がない。井上和彦さん演じる009の加速装置!と言う台詞は子供たちには大人気で当時良く真似したものです。それがないんです…。これに代表されるようにサイボーグ達の活躍シーンはあるものの、何か物足りない。002、001は特に目立たないし…。やはり009の魅力がわかってない…。石ノ森章太郎先生がどこまで口を出せたかは分かりませんが…どうしちゃったんだよと。

ヤマトに影響を受けすぎたハインリヒのアレもとって付けた感が凄くて、前振りが弱過ぎて…。確かにカッコいいのは間違いないんですが、作品として下手。またサイボーグ009は完結していないのであの結末しかないし…演出でやりようがあったかなと。原爆搭載設定を活かしたかったのは分かりますが方法あったはず…。ラストが余りにも無理筋だし…。

またラストバトルの演出も下手すぎて尻つぼみになってるのも減点…あそこで回想の意味はなく、盛り上がりにも欠ける…。ストレートに書けば良いものを…。

ヒロインもとって付けたような存在で端から、宇宙からくる方をヒロインにすれば良いものを…無理矢理出すから009は優柔不断の浮気者みたいに…(笑)

これあまり良いところが無い…。いやサイボーグ009がいるだけで点数にしよう。そうするしかないか。スケールだけならデカイし…。あ、サイボーグである悲しみだけは出てるか。らしさはあった気もするような。

ヤマトやスター・ウォーズに影響されたら駄目ですわ。サイボーグ009にはサイボーグ009の良さがあるはずで…。もう一度、ある意味地に足をつけて、七人の侍的な内容で原点回帰した映画版が見たいなぁ…(T_T)
滝和也

滝和也