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永遠に美しく…のRenのレビュー・感想・評価

永遠に美しく…(1992年製作の映画)
3.0
初鑑賞。ホラーやサスペンスやアクションではない、この時代のオモシロイ映画ってこうだよね〜と思った。『アダムス・ファミリー』のゴシック感と『ホーム・アローン』のドタバタ感と『マスク』のおバカCG大喜利が一度に楽しめてお得だった。

全作観たわけではないけど、ゼメキス作品は自分の中でBTTFが至高で、2000年代のCG本格移行辺りからどんどん興味が無くなっていった(『ザ・ウォーク』は結構面白かった)。ごちゃごちゃと手法に走ったり古典やリメイクに手を出すくらいなら、単に面白いものを撮っていたほうが輝く気がどうしてもする。
今作は、お得意のVFXとコメディの面白さだけしかない(褒めてる)のでとても良かった。

死んだ人間が背後でゴキゴキと生き返るシーンを、純度100%のギャグとして演出できるのが偉い。メリル・ストリープら名優を起用しておきながら冒頭からウソみたいなオーバー演技をさせる演出プランがラストまでちゃんとハマっている。

グロいシーンがグロくならない。ドロドロのシーンがドロドロにならない。全部カラッと笑える。リアルや迫力のためのVFXでなく、コメディのためのVFXなのが流石エンターテイナー・ゼメキスだと思える。

美の追求に足を踏み込む怖さ(?)を見せる前半戦、そのままメッセージ性をかなぐり捨てたドタバタコメディに雪崩れ込み、終盤にもう一度「美とは何か」という教訓的なナニカに回帰する。その終盤ではちゃっかり主人公が変わっているのが面白い。

美と若返りに取り憑かれるのは女であり、男はそれを見ておどおどするのみ。内面の腐った人間が表面の美しさのみを追求していくのと反比例して、それを近くで見てきた男は「美とは永遠のことではない」と結論付ける。言うべき事は最後に牧師が全部言ってくれるので纏めるまでもないが、一度でも若さを味わってしまった女は人間が生まれながらに持つ美しさにはもう気付けない、という話だと思う。

美醜と美容整形をテーマにした教訓的イソップ童話。だけど、そんなのはヘンテコVFX大喜利のための理由付けだと思うので単におもしろエンタメとして観ていい。その見方でもメッセージは受け取れる。
この言い回しは大嫌いだけど敢えて使うなら「何も考えずに楽しめる」映画。

その他、
○ ブルース・ウィルスが髪生やして眼鏡をかけるとウディ・アレンみたくなるの面白い。アクションではない、おどおどした冴えない男役のコメディ演技。
○ 最後の台詞でしっかりオチててコントとして◎。
○ 似たようなテーマをホラーで再現してみせたのが韓国のアニメ映画『整形水』。とても面白いので是非。
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