なつ子

スタンド・バイ・ミーのなつ子のネタバレレビュー・内容・結末

スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます



私は今日初めてスタンドバイミーを観て、映画館で観れて良かったと思った。
私が産まれるずっと前の作品だけど、面白い作品っていつ見ても面白いんだなと改めて感じた。
劇場には結構年輩の方が多く、私にとってのITが誰かにとってのスタンドバイミーなのだと観終わったあとに思った。

この先の人生何処か良いタイミングで観たいと思いあたためていたので、劇場で、それも大好きなこの映画館で観ることができて幸運だった。

家庭環境が悪く不憫だが最高の少年たち、意地悪な歳上の少年たち、古い作品から垣間見える倫理観の欠如と田舎町が舞台で、私はこのテーマが好きなのかスティーヴン・キングの作品が好きなのかそろそろ考えた方が良いなと思いはじめた。(どの分野でも作者に盲目的になりがちなので考えるのを避けてた)

クリスが死んだという新聞記事から回想が始まり、クリスを大好きになる頃にはクリスの夢が叶うこと(立派な地位を築けていること)、彼が殺されて死ぬことを思い知らされながら時間が進むことになんとも言えない感情を抱いた。

兄弟を失うツラさ、親との確執、各々が抱える問題は解決したりしなかったりしながら平凡な終わりを迎える。
パイ食いコンテストの話がふわっと着地したから、そういえばこの人の作品ってそう言われがちだったなと思い出した。面白いのにオチが〜という自虐ネタはこの頃から擦っていたんだね。

テディが戦争へ行き、恐らくその影響で精神を患っている父を愛し尊敬しているという設定がとても良かった。父を侮辱され泣く姿がたまらなく愛しく思えたし、彼を心配する友人たちの姿も良かった。誰かが傷付いた時にフォローし合える4人の関係性が大好きになった。この友情が永遠で無かったことも、同じものは2度と手に入らないことも、結果として輝かしい少年時代のスパイスになっていた。

バーンは家に帰ったら兄から酷い目にあわされないか?クリスやゴーディが報復で殺されないか?また学校でと去るてテディの後ろ姿と画角に、突然現れた車に轢かれて死なないか?とあちこちで少年たちの死を予感して怯えていた。

結局クリスは努力で人生を変え、最後まで良いやつのまま死んでしまった。
ひと夏の冒険が大人になっても心に刻み込まれているのは、大人になった今ならなんとなくわかる気がする。少年時代の何かに支えられていると思う瞬間は、きっと死ぬその時まであるのだと思う。

もし自分が家族の形見を奪われたら、相手がドン引きするくらい泣いて返してもらうかもなとか考えていた。
素晴らしい映画を素晴らしいタイミングで観れて、今日も最高の休日になってしまった。
なつ子

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