ウサミ

スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐のウサミのレビュー・感想・評価

4.0
コレですよコレ。
観たかったのはこういう映画!って感じでした。

スターウォーズにおける暴力と恐怖の象徴、主人公ルークと因縁を背負った最恐の宿敵“ダース・ベイダー”の誕生を描くのであれば、これくらい殺伐とした雰囲気の映画でないと。

人を愛し、それを守りたいと強く願う男だからこそ、ジェダイには禁物である『執着』を産み、自らが討つべき敵へとなれ果ててしまう。
ようやく、アナキンのキャラクターとしての魅力が伝わった気がしました。
焦りや苛立ち、不安が暴走し、彼が強大な力を欲して、それに魅了されて行く様がゾクゾクして楽しかった。
無垢な子供を殺すというやり過ぎな暴力も、エピソード2ではドン引きでしたが今作ではダースベイダー誕生の布石として良かった。

そして、アナキンの弱さと愚かさを描くと同時に、人間が普遍的に持ち、欲する『愛』というものの偉大さを感じさせます。
ゆえに、物事の固執を取り払うジェダイの考えも、力に溺れ自我を失うシスの考えも、どちらも狂っている、と感じずにはいられません。

そして、それらの“中庸”を見出し、いついかなる時も人を信頼し続けた、ルーク・スカイウォーカーという男の強さ、偉大さが改めて心に浮かび上がってきたのです。

目先の者を救うな、とヨーダに悟られてもなお、ソロとレイアを救いに走ったルーク。
シディアスに追い詰められてもなお自我を保ち、剣を床に置いて見せたルーク。
暴力の象徴でしかなかったダースベイダーを、父として善の心を信じ続けたルーク。

この三部作は、もはやルークのための三部作なのでは、と思うほどに。


ここから物語は『新たなる希望』へと繋がります。
公開時系列的には、大きく遡ることとなりますが、フォースに翻弄された親子の壮大なクロニクルを、あえて逆の順番で鑑賞することで、逆説的に主人公ルークスカイウォーカーの強さを観客に改めて確信させる、という構造が本当に素晴らしい。
ウサミ

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