ハリーハウゼンの同名映画のリメイクだが、当然バリバリCG使っているのでリメイクというより原案ハリーハウゼンという感じの映画になっている。
話としては冥王ハデスが神に逆らった人類に対してアルゴス(これは前日譚にあたるアルゴ探検隊から引き継いだ設定)の王女アンドロメダを生贄にしなければ人類を滅亡させると言ってきて、そうはさせじと神の隠し子である主人公ペルセウスが立ち向かうという聖闘士星矢的な内容なんだが、大前提としてアンドロメダと主人公の繋がりが弱い。
しかもヒロインはアンドロメダに見えるが実際はイオというオリジナルキャラで、そうなるとペルセウスは何の為にアンドロメダを救いたかったのかぼやけてしまうだけでなく、家族の死のきっかけを作ったのはアンドロメダの父親なので更に主人公の動機付けの部分が分かりにくくなってしまっている。さらに主人公の設定で一番特徴をなしているはずの神と人の間に生まれた子という部分での、アイデンティティを獲得していく過程とその葛藤も弱い。
話はあまりおもしろくないのだけど、アクションシーンは悪くなくて、巨大サソリのシーンではハリーハウゼン作品へのオマージュが入ってるし、ゼウスの光る鎧という聖闘士星矢オマージュも悪くはない。ただ前述のとおり基本的に主人公の戦う動機が弱いので盛り上がりにかけてしまう。
ただリーアム・ニーソン演じるゼウスがギリシャ神話同様なんでもかんでも女で解決するというのは良くて「息子よ悪かったお詫びに女をやろう。」というラストはギリシャ神話のお約束を踏襲していて良い。
結論として、完成された原作であるギリシャ神話の展開を改変した上に話が詰まらなくなってしまっているのと、アクションシーンは悪くないとはいえ冒険英雄譚としてハリーハウゼン版を超えることが出来ていないわけでリメイクとしては失敗と言わざるを得ない。