リッキー

迷子の警察音楽隊のリッキーのレビュー・感想・評価

迷子の警察音楽隊(2007年製作の映画)
3.4
994本目。190403
『一期一会の精神』
イスラエル、フランス、アメリカの合作映画です。
1990年代、 8人で構成されているエジプト警察音楽隊が、慰安演奏をするためイスラエルにやってきます。しかし空港に降り立ったものの迎えがなく、彼らは自力で会場へ向かおうとします。さらにちょっとしたトラブルが加わり、彼らを乗せたバスは全く目的地と違う辺境の地に到着してしまいます。
ようやく到着先のある食堂で昼食をとりますが、すでに当日のパスは終了しています。街に宿泊できるホテルなどもなく困り果てているところ、その食堂の女主人の厚意で主人や従業員の家に泊まることとなります…。

ユダヤの地にアラブ人が迷い込む設定に、なにかありそうな予感がしましたが、意外にもハートフルな内容だったのは、エジプト警察音楽隊の人たちが皆誠実であったことが大きかったように思えます。
赤の他人で、それも外国人なので、受け入れる側・招かれる側、双方とも気を遣っています。ある家族はちょうど妻の誕生日だったため、誕生会を兼ねての食事でしたが、夫婦仲がうまくいっていないために寂しい誕生会になってしまったり、また、食堂の従業員の初めてのデートにつきあって、デートの指南をしたり、などいろいろなドラマがありました。楽隊員たちがさりげなくアドバイスすることで良い方向に進展があったので、一宿一飯の恩を返すことはできたのではないかと思います。
女主人が楽隊長に夜の街を案内しながら、 自分のことをいろいろと話します。初めは寡黙で緊張気味の楽隊長でしたが、時間が経つにつれて思わず 自分の悲しい出来事を語ってしまいます。その姿をただ優しく見守る女主人役の方が好演でした。

誰にも言えない悩みなどを誰かに話したい衝動はとてもよくわかります。自分の身近な人だと、その後の付き合い方などに支障がでるため、全く関係のない人に話すことでスッキリするのでしょうね。「王様の耳はロバの耳」のような感覚でしょうか。

作品中に音楽のエピソードは多少ありましたが、少し物足りなく感じました。音楽隊の話なので音楽によって、受け入れてくれた人々に何か変化をもたらすようなシーンがあってもよかったのかな。
この内容だと音楽隊でなくても成立してしまいます。
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